地域学

 福島県立博物館の学芸員をしている大学時代の友人から「会津学」を送ってもらった。最近「地域学」について非常に興味がある。「地域学」は地域資源を再発見することであり、それをうまく活用することで地域活性化策に繋がると期待している。

早速、昼休みにパラパラとページをめくった。
『会津学 Vol.1 創刊号』(会津学研究会)のなかで、赤坂憲雄氏(福島県立博物館館長)の言葉が非常に印象的だった。

以下、抜粋(同書p12)
 東北の学生たちに授業をするとき、『遠野物語』は君たちにとって内なる異文化の結晶だと言うんです。つまり、全くかけ離れた遠い異文化のように見えるかもしれないが、君たちの両親や祖父母にとっては当たり前の暮らしの風景に過ぎない。それは切れているように見えるかもしれないが、実は君たちの内部に繋がり、あるいは内に流れているものに違いない。そういう意味で、外なる異文化ではなく、内なる異文化であるという視点がとても大切なんじゃないか、と。
 今の学生の祖父母の時代に遡れば、『遠野物語』は異文化ではないし、当たり前な暮らしの風景の一こまに過ぎない。それを僕は「内なる異文化」と表現しています。自分の中に繋がる糸。それがとても重要だと感じます。

 私もこの「内なる異文化」の視点が非常に重要だと考える。あたりまえのことがあたりまえでなくなる。地域社会の文化が伝わらなくなる。そしてそれが「異文化」になってしまう。人の営み、地域社会の連続性が失われつつあるからこそ「異文化」になってしまうのである。それを絶え間なく伝えていくのが、ローカルメディアや博物館の使命であり、今、自分の仕事だと思う。

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