社会福祉法人について

私は本業で、社会福祉法人、特に介護事業所とのお付き合いがあり、また坂本研究室でも
社会福祉法人へ視察に行く機会をいただくたびに 、その社会的な役割について改めて考えせられることがあります。

今、世間では社会福祉法人の役割や使命について今、多くの議論があり、その大半は、
法人にとって、かなり厳しいものとなっています(「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」より)。

●地域ニーズへの不十分な対応
●財務状況の不透明さ
●ガバナンスの欠如
●いわゆる内部留保問題
●他の経営主体との公平性(イコールフッティング)等など。

また、民間の事業主の方との間で 納税、利益、という話になると、「社会福祉法人は営利法人に比べて税制面で優遇されている。それが同じ土俵上で事業を行っているのは不合理だ。」という話に発展することがよくあります。
また、そんな話をすると、今度は、社会福祉法人からは「なら、社会福祉法人ぐらい厳しい運営監査を営利法人は受けているのか?同じ土俵と言うのなら、同じような規制を受けるべきだ。」等と反論する事業主がいたりして、結果的に、感情的で不毛な議論に陥りがちです。

正直なところ、私も、今の仕事を始めた当初は、営利法人と社会福祉法人の役割上の線引きが明確に見えず、「本当に社会福祉法人はいるのだろうか?」「過去の遺物ではないか?」等と感じたことがあるのも事実です。
ただ、その後、様々な社会福祉法人と接する中で、社会福祉法人には社会福祉法人たる使命もあるのだ、ということを感じるようになってきた。
社会福祉法人の使命、それは次の4つではないかと思う。

1. 福祉サービスの提供(特に民間が参入しにくい分野)。
2. 雇用の創出・維持
3. 地域福祉の後継者育成
4. 地域の福祉マインドの醸成

特に3や4については、社会福祉法人独特の使命と言っても良いでしょう。
これらの使命を全うしようと考えれば、当然、社会福祉法人の経営においては、営利法人以上に費用が嵩むことになります。
それ故、社会福祉法人は、税制面で優遇されている、と理解すれば、なんら違和感はないはずです。
逆に言えば、上記の使命を全うしようとせず、営利法人なら課税分として充当される資金がそのまま蓄積され続けている社会福祉法人は、社会福祉法人として存続することは許されるはずもないはずです。

その意味で、現在の「社会福祉法人の在り方」に関する議論は、まさに社会福祉法人に与えられた役割や意義について、原点に返って問い直しているものであるように思います。
社会福祉法人の今後については不要論も含め、様々な視点から様々な議論がなされていますが、今、活動されている社会福祉法人の経営者は、そのような議論の行方を注視しつつも、それだけに振り回されるのではなく、「本来のあるべき使命を全うする」という信念のもと
事業を展開されることを願いたいと思っています。

M1 林 正人

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