ブレーキ製造会社は決して自社の成長にブレーキは掛けない。

曙ブレーキ工業と言う会社をご存知でしょうか?

1929年創業。主に自動車用ブレーキを中心に生産し、トヨタ、日産や米GMを中心に各自動車メーカーへの供給を行っていて、ブレーキパッドの日本と米国市場のシェアは4割に達し、また自動車だけではなく新幹線や鉄道車両のブレーキシステムも生産し高いシェアを持つブレーキメーカーのトップ企業です。

トヨタ、日産、ホンダと言う自動車メーカは誰でも知っているが、その商品である車の安全性を支えているブレーキメーカの名を知るユーザーはほとんどいない。

曙ブレーキでは自社や自社製品に対する評価について調査を行った、その結果見えてきたのは、自動車メーカーや部品供給先のビジネスパートナーが曙ブレーキに対して極めて高い評価をしているのに対して、自社社員による評価が低く下回っていたということ。

この結果に対して曙ブレーキでは企業が生み出す社会的価値の源泉は社員であると考え、社員を重要なステークホルダーと捉え、社員に誇りを持ってもらうための社内向けのブランディング活動に本気で取り組むようになった。

その活動は2005年から「AKEBONO REPORT」と言う事業報告書、CSR報告書、アニュアルレポートをまとめたものとして発行している。
その内容は株主や顧客向けだけではなく、重要な読み手として社員を意識し、これによって社員が会社の事を理解し、自分自身のこととして考え、行動できるよう、その手引書となるように作成しているという。
長期的な成長を考える同社としては、社員の潜在能力を最大限に発揮するために基盤となる会社や製品に対する誇りを育てることが重要だと位置付けている。

また、同社には50年も前から「保専生」と呼ばれる働き方がある。これは同社の工場で働きながら、短期大学に通い
3年間で幼稚園教諭や保育士、栄養士資格などを取得する就職進学制度である。
高校卒業後、家庭の事情等で大学や専門学校に進学できなかった学生に会社が仕事と寮を提供し、3年間全員が寮で共同生活を送り、給与から学費を払い、自分の力で学校を卒業し資格を取得する。これまでに卒業生は3000人を超え、親子二代で利用した人もいるという。保育士を目指す人が多いので「保専生」と呼ばれるらしい。

さらにこの曙ブレーキ工業が素晴らしいのは、障がい者雇用にも積極的に取り組んでいるという事。

同社は障がい者雇用を促進するために特例子会社「あけぼの123(株)」を持っていて障がい者雇用率はグループ全体で2.28%、特例子会社の「あけぼの123」を含めると3.88%と言う。
社員数約8500名の会社だから、その雇用人数は300人以上になる。

多くの障がい者を雇用するという量の面だけが優れているのではなく、障がい者の個性を踏まえて、その育成に努め、彼らのできることを増やして、その適性に応じた仕事の割り振りを行っていること、そしてこの障がい者を支え指導している指導員はなんと全員があの「保専生」のOGであるという事に驚かされる。

これは自分たちが家庭の事情などであきらめかけた進学をさせてくれた会社に対して恩を感じ、保育園、幼稚園で働き、家庭を築き、子育てもひと段落し、ふと自分の人生を振り返りお世話になった会社への恩返しという事で
子育てや教育で培った指導力を、障がい者の指導員として役立てているという事である。

まだまだ書きたいことはあるが、危険な時間になってしまったのでこのあたりで終わりにします。
長文お付き合い頂きありがとうございました。

ぜひ、坂本ゼミで視察に伺いたいと思います、詳細はまたその時報告します。

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「ブレーキ製造会社は決して自社の成長にブレーキは掛けない。」への2件のフィードバック

  1. 西森さん おはようございます!
    曙ブレーキという会社は昔からしっていましたが、そのような活動を積極的にやられている会社ということは全く知りませんでした。
    大企業でも社員を大切にしようとする姿勢に共感を持てます。
    情報ありがとうございます。