緊迫!のぞみ225号

ちょうど1週間前の今日、あの新幹線に乗車していました。
大阪から島根という2泊3日のツアーの初日のことでした。

妙な車内業務放送があり、ポンという破裂音が鳴り響き、自分がいた4号車にも爆風が突き抜けていきました。
狭いトンネルに入った時に耳がつまる閉塞感を感じることがありますが、あれの重い状態が体を襲いました。

車内には一様に緊張感が走りました。
「火災が発生したらしい」、「窓の外に煙が見える」といった興奮した乗客の声が轟きます。

東京駅11時発の「のぞみ225号」は急停車し小田原の手前に止まりました。
後で知ることになりますが、異変を察知した運転士がトンネルとトンネルの間に列車を止めてくれたのです。
もしもトンネル内に停車でしたら、おそらくもっと被害が出たことでしょう。

捜査中ということで、あまり報じられていませんが、停止後、この運転士が消化活動にあたったそうです。
この迅速な行動が被害を最小限に食い止めたのです。
http://news.infoseek.co.jp/article/20150701jcast20152239220/

小田原駅までたどり着いたとき、自分の目の前を担架で前方の車両から運び出される人がおりました。
上半身は毛布をかけられていてわかりませんでしたが、足は見えていました。
たしかに、あのJR乗務員の独特の薄グレーのズボンだったように思います。

消化活動で煙を吸い込み、(やけど説もあり)体調不良になりつつも任務を全うしてくれたのです。
わが国はこういう使命感のある人たちに支えられているんだと改めて思わされます。
感謝の気持ちでいっぱいになります。

事件発生直後、前方車両から、乗客がなだれ込んできました。
しかし、報道されているようなパニック状態という訳ではありません。
整然と素早く人々は行動していました。

とても嫌な臭気が充満し、のどに不快感を覚えました。
私も身の危険を感じ、荷物を即座にまとめ、後方へ移動する行列に加わりました。
4号車の乗客は座ったままでしたので、もっとも早く自分は避難行動を始めたようです。
2次爆発や煙が流入してくるのではないかと怖れたのです。

その後5号車、6号車と進みますが、同じように多くの乗客が座ったまま動こうとしていません。
結局、その後爆発や煙の流入はありませんでしたが、こういうとき果断に行動できるかどうか、とても大事ではないかと改めて教訓になりました。

7号車のグリーン車のデッキまで進んできたところでいったん立ち止まり、様子を見ることにしました。
同じように立ち止まっている乗客がいました。
その方は1号車に乗車していたようです。
「おっさんがガソリンのようなものを巻いて火を放った。お前らあっち行け」とわめていたと衝撃の言葉が出てきました。

え、これは事故ではなく事件なんだとその時悟りました。
その時の映像がこれです。
https://www.facebook.com/hideshi.kobayashi/videos/919380628126913/

大変なことが起きたなと全身が凍り付きました。
車内は電源が落ちエアコンが効かなくなりました。
水も止まりトイレが大変なことになっていきました。
熱さと異臭で体調が悪くなる人が出始めました。

車掌以下全員対応しているからでしょう。
車内放送は一切ありません。
パトカーや消防車、救急車のサイレンが近づいてきて、消防士がようやく乗り込んできました。

頼りになったのは、SNSやネットでの情報です。
一報を投じた自分のフェースブック投稿に次々とコメントが寄せられました。

西精工西社長が12時09分に「NHKでトップニュースです!」と教えてくれました。
西社長はその後も、2人が心肺停止になったことなど今、何が起きているのかということをいち早く知らせてくれました。

これがありがたかったです。
事故ではないので、これ以上被害は拡大しないだろうと推察できました。
周りの人にもその情報を伝えていくと落ちつき始めました。

やがて刑事と思しき男がやってきて、ドアの緊急開錠をしていきました。

新鮮な空気が社内に流入し、壕の中のような息苦しさから解放されました。
ほどなくして電気がつき、水も流れ出しました。

ここまでくればもう安全、命拾いしたと心から安堵しました。

この事件で何の罪もない同乗者の方がお亡くなりになりました。
さぞや無念だったことでしょう。犯人の身勝手さに改めて怒りが湧いてきます。
慎んでご冥福をお祈りいたします。

事件遭遇直後から、たくさんの方に励ましやご心配のお言葉をいただきました。
とても勇気づけられました。

本当にありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。

小林秀司

小林秀司 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「緊迫!のぞみ225号」への2件のフィードバック

  1. 小林さん
    小林さんのfacebook投稿を確認したのは郡山市内のあるJRのホームでした。
    第一報では「1号車から煙が出ているようだ」とのことでしたが、事が明らかになるにつれ、本当に凄い事件に巻き込まれていたことになります。
    リンク先の楽天ニュースを読みましたが乗務員やJR関係者の素晴らしい行動には本当に感動しました。
    ご無事でなによりです。

  2. 村田さんからも早い段階でご心配のコメントをいただきありがたかったです。ああいう時に知っている方と繋がれるとすごく安心します。