ノンマルトの使者 (ウルトラセブン)

法政大大学院 坂本光司ゼミ 修士1年 根本幸治

2016年新年会、学生時代の地元の友達と酒に酔い、子供に返って語らった。
皆さんにとって小学生の頃に見て影響を受けたテレビ番組とは何でしょう?

今年50歳になるオッサンたちの中で高い支持を得たのが、ウルトラセブン。
中でも「ノンマルトの使者」(1968年)は当時の小学生にサブリミナルな効果を与えた。

地球侵略の怪獣退治を使命とする正義の味方・ウルトラセブンが対決したのは、
今の地球人に侵略されて海底へ逃げのびた地球原人(ノンマルト)だった。
(注:ノンマルトとは”戦わない人”の意味の造語)

ウルトラセブンはこの地球原人と戦い殺したことが正義だったのかを悩んで終わる。
勧善懲悪にならない心地悪い内容に小学生も悩む。

「ノンマルトの使者」の脚本を書いたのが、金城哲夫。
アメリカ占領下の沖縄出身で、ウチナンチュ(琉球人)、ヤマトンチュ(日本人)、米国人の
民族ルーツに悩む内面を描いたのではないかと議論のネタになる。

沖縄への誇りと沖縄を知らしめるため、1975年の沖縄海洋博覧会のプロデュースを担うも
一部地元人からは、開発により沖縄の海が汚染した、目標入場数に達しなくて経営破綻した、
などと裏切り者扱いでののしられた。
また博覧会に訪れた当時の皇太子様美智子様がひめゆりの塔で火炎瓶を投げ付けられた。

金城哲夫は1976年に酒に酔って自宅の2階から転落し脳挫傷のため37歳でこの世を去る。
ウルトラセブンや金城哲夫を慕う人たちが現在も当時の自宅兼仕事場に訪れている。

死を覚悟して最後の変身を決意した諸星ダンは、アンヌ隊員に自分の正体を打ち明ける。
アンヌ隊員はダンに心配させないために驚きを振り払って、落ち着いて優しく言葉を返す。
「人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの。たとえウルトラセブンでも」

諸星ダンが、アンヌ隊員に永遠の別れに際して発したセリフに、子供たちは涙した。
「西の空に明けの明星が輝くころ、ひとつの光が宇宙へ飛んでいく。それがボクなんだよ」
(注:科学的に明けの明星が輝くのは東の空である)

今年50歳になる初恋がアンヌ隊員(ひし見ゆり子21歳)であるオッサンたちにとって、
自らの命を犠牲にして世界の平和を守る行為は、男の美学なのだ。

そして、我々ウルトラ警備隊は最後に行動を共にすることを誓い合った。
「今年は調布にあるアンヌ隊員のお店に行って、地球防衛パーティを開催しよう!!!」

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