北海道の浦河、遠かったが価値があった。

中村カレンさん著の「クレイジー・イン・ジャパン(べてるの家のエスノグラフィ)」に付いている50分のDVDを5分見て、6月下旬に予定している、法政大学大学院、坂本光司教授と有志のゼミ生で行くことに決めてスケジュールを変更した。
坂本ゼミに入学して数十の障がい者施設を訪問しているが違いを感じたからだ。

違い。べてるでは、「三度の飯よりミーティング」と言うように何度も何度もミーティングを繰り返している。

健常者どうしのミーティングでも相手のことをどの位分かっているか分からない。AさんとBさんがいるとする。Aさんが「B、お前の弱いところはこの点だ。分かったか。」とべてるでは、はっきり言い切る。腹で思っている・本音をズバリ言う。
Bはカーッとなるかもしれない。

後日、Bが「A。ちょっと来い。お前、この点、ナッテネーヨ」。お互いに本音で語って言うことは言う。健常者は本音を余り言うことが少ないのではないか。べてるでは、グループホームの同室等で同じ釜の飯を食う仲間、通っている仲間とでも、言いたいことを言っている感じを受けた。
喧嘩をおこすこともあるかもしれないが、腹に思っていること・本音を言っていることが良いとではないか。

6月下旬、前夜函館に泊まり、朝6時前から坂本教授と5名のゼミ生の長い浦河までのドライブが始まった。
自動車専用道路を降りるまでは予定時刻より早く到着見込みだったが、一般道に降りてからは長かった。予定時刻を過ぎて「ニューべてる」に到着した。前泊した山内先輩と落ち合う。楽しみの襟裳岬でのたばこ一服も強風で吸えなかったようだ。
金曜ミーティングが始まっていた。DVDと同じ感じだった。山内さんが質問をした。地元の施設では受け容れてもらえず全国各地から集まってきている。障がい者は140名。これ以上、受け容れられないようだ。

ミーティング後、ランチを「カフェ ぶらぶら」で食べた。障がい者が野菜等を育て収穫し料理をする。美味しかった。一人は、スイーツまで食べた。
近所の方や通りがかりの人、ここが目的だった人、自然に入れる店だ。浦河は昆布と競走馬の町で、昆布を加工しネーミングを工夫したり商して商品としている。

最初の「ニューべてる」に戻った、施設内の案内後、障がい者当事者の3名の方が、説明箇所ごとに一所懸命に説明してくれた。説明中でも男性1名と女性1名が言い足りないか不満があるのか自分の言いたいことを言っていた。障がい者施設でも健常者同志でも、「やめなさい」と止めるのが普通だと思うが止めない。いい意味で自主的、自分のやりたいことをやる。
「ようこそべてるへ」の38Pの小冊子を元に説明していただいたが、資料代として1冊2千円。昨年、年間で2500人訪問者がいるのでこれだけでも500万円の収入がある。全体として3.2億円の収入。

今年4月1日の浦河町の人口が31000人。全国の多くの市町村と同様に人口が減少しているが「べてる祭」でも全国から500から600人が訪れているので大きい。

年会費3千円で「ウレシバの会」がある。年6回程度の会報だけでも価値があると思う。これとは別に寄付も受け付けている。

日本だけでなく、世界から当事者研究で訪れている。書籍、DVD、Uチューブも無数に視聴することができる。

「ようこそべてるへ」には、今さら聴けないべてる基本用語が16掲載されている。
幻聴さん。幻聴から幻聴さんへと言うように、たいてい、つらく嫌な声(例えば、死ね、ばかなど)の幻聴を親しみを込めて「幻聴」さんと呼ぶようにしています。つらい幻聴のときは幻聴さんお願いします。今日は疲れているのでもう休ませてください。幻聴さんもお休みください。
自己病名。お医者さんなどの専門家がつける病名ではなく当事者が自分で考えた病名。
オレは精神バラバラ病。統合失調症休日ひま疲れタイプ、、。

坂本教授は精神障がいでは、東のべてる、西のラグーナ出版と言われた。
べてる、障がい全般で学ぶべきものがある。

マイナス思考でなくプラス思考で否定せず受け容れること。
DVDを見て感じたことだが、腹に隠さないで本音を言うこと。
共に健常者の世界でも一緒だ。

北海道の浦河、遠かったが価値があった。

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