笹井編集長

さらば価格競争
出版元
商業界、笹井編集長のアメブロからです。

月刊誌、商業界もよろしくお願いします。

安さよりも大切なもの
テーマ:手がけた雑誌と本
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人を大切にする経営を提唱する坂本光司・法政大学大学院教授の最新刊『さらば価格競争』が現在、おかげさまで爆発的な売れ行きを見せています。
坂本教授の調査によると、全国の中小企業の8割が“価格”を競争力の源泉とする経営、つまり“価格”の安さを売りものにした経営をしているといいます。
皆さん、それをけっして良しとしておらず、「なんとか価格競争の泥沼から抜け出したい」という強い思いがあるから、本書をこれほどまで支持していただけるのでしょうね。
準備を整えましたので、すぐに皆さんのお手元に届くでしょう。
書店さんでも、しっかり揃えていただきました。

まあ何はともあれ、編集者として、こうした時代を画する一冊を担当できることは大いなる喜びです。
そこで私のもう一つの活動拠点、月刊商業界12月号(11月1日発行)で、同じく「さらば価格競争」と題する特集企画の掲載を進めています。
『さらば価格競争』で取り上げた「非価格経営に取り組む21社」の中から、商業界読者にとりわけ関連の深い業種から4社を再取材し、その企業に学ぶべき点を別の視点から掘り下げています。
いわばジャズミュージシャンが、名曲を繰り返し収録するようなものです。
月刊商業界12月号では、その別テイクをお楽しみいただけます。
ここではそのさわりの部分をご紹介しましょう。

万年筆博士
かつては入学就職祝いのギフトとしても重宝された万年筆。
手書きからメールの時代へと変わり、一時はすたれていましたが、万年筆の魅力がいま見直されています。鳥取市の万年筆製造販売店「万年筆博士」には、書き癖に合わせて作られる誂えの万年筆を求め、国内外から注文が殺到しています。

しもきた茶苑大山
生活様式の西洋化や核家族化などにより、消費量も店舗数も減少している日本茶業界。
そんな中、東京・下北沢にある日本茶専門店「しもきた茶苑大山」では、喫茶部門を併設し、お茶屋ならではのかき氷を提供。
若者からも人気を集めるとともに、お客に寄り添う商いで顧客をつかんでいます。

パン・アキモト
まちのベーカリーとして地元の人々に愛される「パン・アキモト」。
片目で地元をしっかりと見つめながら、もう一つの目では世界を見て、「パンの缶詰」によって世界の飢餓を救う「救缶鳥プロジェクト」をはじめとする社会貢献と本業をみごとに両立させています。

トランスフォーム
全国に約22万店という美容業界。
少子高齢化で市場は縮小傾向にあり、低価格化で競争が激しさを増すばかりです。
そんな中、東京・中野の美容室「トランスフォーム」では、客単価は業界平均の2倍以上、リピート率は90%、新幹線で来店するお客もいます。
その成功の理由は、オーナー自身の経験と覚悟にありました。

「今や『安ければ安いほどいい……』という時代ではありません。本物は高くて当然なのです。また人々は、単に価格で商品価値を評価するのではなく、トータルの企業価値、とりわけ社会価値をモノサシに、その商品の購入場所を選択するようになってきています」
こう坂本教授が指摘するように、真の顧客は「値段」よりも、その商品の「品質」、さらにはその企業の「志」を見つめています。

「安さが誰かの犠牲・我慢の上にかろうじて成立しているであれば、その値決めは健全・適当ではなく、長く顧客に支持されることはありません。価格とは、企業経営の命であり良心なのです」と坂本教授。
7500社以上の企業を訪問調査してきた著者による、非価格経営実現のための提言は、価格競争に苦しむ多くの中小企業の経営者の指針となるでしょう。
さらば価格競争――それを望むあなたに必要なメッセージが本書には込められています。

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