やはり三方よし、近江商人本日、24日(木)22時からBSジャパンで放映される「夢職人」

やはり三方よし、近江商人

本日、24日(木)22時からBSジャパンで放映される「夢職人」。

大塚産業グループ (滋賀県長浜市)

全国的に見て、滋賀県はとくに百年以上つづく老舗が多いのが特徴。なぜ、そんなに長く続けられるのか?そこには、意外な共通点があった。
それは、近江商人が商訓として掲げている「三方よし」だった。売り手よし、買い手よし、世間よし」、自分だけが得をするのではなく、地域、客とのバランスを考えよという意味だ。

大塚産業グループもそんな会社の一つ。1700年代初頭に創業、専ら蚊帳の製造をしていたメーカーだ。
しかし、高度経済成長期に日本人のライフスタイルが大きく変わり、蚊帳の必要性がなくなった。一時は廃業も考えたというが、そこからの粘りと進化は凄まじかった。

まず、蚊帳の技術を生かした布壁紙、それから自動車が普及すると見るやその内装材の製造に主要業務を切り替えていく
。いずれも人を優しく“包む”という技術を進化させたのだ。自動車のシートに使われる緩衝材の不織布は、国産自動車のシェア7割に達し、次々とオンリーワン技術で他社を引き離していった。

原動力は従業員のカイゼン運動。一案につき200円の報奨金が出るため、従業員のモチベーションは上がり、次々と新しいアイデアが生まれた。
「玉石混交だが、みんな自分で考え職場を変えるという意識が統一された」と、大塚敬一郎大塚産業マテリアル社長は言う。
厳しい時にも諦めず雇用を維持し、人に役立つ製品を作りたいという社長の思いはひとつになった

これまで、コイルとジュートで補強されていた自動車のシートは、同社の不織布のパッドで疲れにくい座り心地を実現。
トヨタなど大手メーカーに認められ普及するのである。さらに、同社は湖北地方の伝統産業浜縮緬にも目をつける。
外国製の安い繊維に押され、廃業が相次いでいた縮緬工場に不織布の縫製を依頼し、地域全体で生き残る道を選択したのだ。

「我々が三百年続けられたのは、地域や従業員とともにやってきたから」と社長は言う。
蚊帳から自動車の内装部品へ進化した300年老舗、作るものは変わっても変わらないモノ、それは三方良し、近江商人の経営哲学だった。

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