昨年の第6回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」、経済産業大臣賞受賞企業の最高人財責任者です

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昨年の第6回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」、経済産業大臣賞受賞企業の最高人財責任者です。

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「個」にこだわる!
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サトーホールディングス株式会社 執行役員 最高人財責任者(CHRO)
江上 茂樹

社会人になって、この3月で丸22年。その約9割を「人事」という領域で
仕事をしてきました。駆け出しの頃は、学生時代には出会うこともなかった
人事の諸制度やルール・プロセスに則って、「いかに人事プロセスをまわして
いくか?」が楽しく、そのオペレーションを極めることにやり甲斐を感じて
いたことが懐かしく思い出されます。こう書くと社員のことを何も考えて
いなかったようですが、自分のオペレーションを通じて、社員が喜んでくれると、
自分のモチベーションも高まったものでした。

自分自身が様々な経験を積み、オペレーションから企画的な仕事に比重が
移っていく中で、「人事は何のためにあるのか?」そして「人事の役割は何か?」
を考えるようになってきました。「人事は役に立っているのか?」と。特に、
前職の人事・総務部門責任者であった間は、「経営の側面での人事戦略」と
「社員の側面での人事戦略」の2つバランスをどうとっていくかに苦労してきた
という実感があります。

人事部門の役割は、会社のビジネスの持続的成長のために人や組織の面で
サポートしていくことにあると思っています。それは、時には人財の採用や
育成ということにもなるでしょうし、時には人件費の最適化ということにも
なります。つまり、会社の状況によっては、社員に厳しい施策を打たなくては
いけない。それも、人事部門の役割であり、責任でもあるのです。

また、以前のように新卒一括採用・育成ではなくなってきている中で、社員の
多様化が進み、一律的な取扱いができなくなってきているという現状の中で、
「全体と個別の間で、どう対応していくのがいいのだろうか?」と前職で
頭を悩ますことが多くなりました。

現職のサトーホールディングスに入社して1年が過ぎましたが、当社は
「個の強みを経営に活かす」ことが明確に謳われており、これが企業理念にも、
ダイバーシティにも、健康経営にも、人財施策にも反映されています。社長の
松山とは、「極論言えば、国内2,000人の社員のために、2,000通りの社員制度が
あってもいいのでは?」と話していて、この言葉が私の心を奮い立たせています。

もちろん、業務の効率化を考えると必ずしも効率的ではないのかもしれませんが、
「個」の力が「チーム」の力となり、チームの力が集まって会社の持続的な
成長につながるので、いかに「個」を重視した取り組みを行うかがこれからの
会社の成否を左右する、と肝に銘じて諸施策の実現に邁進しています。

我々が「個」を重視した施策を行う際に、心がけていることは、1.ルールは
最低限におさえ柔軟に対応できるようにする、2.対象となる社員のことを
大切に考え、彼らが腹おちするまで丁寧に説明し理解してもらうように努力する、
3.何のためにその施策を行っているかを常に頭の片隅に入れておく、
といったことです。

特に、3.についてはとても重要で、このことを忘れると、社員個人が
ハッピーになるだけで、それが会社の持続的成長につながらない、ということ
になります。あくまでも我々はビジネスで成長し続けないといけないわけであり、
そのために個人の力が最大限に発揮できるようにすることが大切です。

「個」を大切にし「個」にフォーカスするのは、文章で書くほど簡単でもなく、
時間もとられます。しかし、時間を惜しまず多くの社員と対話すること以外に
近道はないと思っています。非効率かもしれませんが、愚直に「個」の強みを
信じて、突き進みます。

「社員もハッピー、会社もハッピー」、そんな会社を目指したいですね。

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