特殊衣料

法政大学大学院 坂本 光司ゼミ、夏合宿 イン 北海道。

10年前の地元のネット情報。

株式会社特殊衣料 代表取締役社長 池田啓子さん

池田啓子さん
株式会社特殊衣料 代表取締役社長 池田啓子さん はじめは特殊衣料の創業者である叔父から「経理を手伝わないか?」と誘われ、パートとして入社した。
現場に携わるうちに「主婦の発想だったの。大事な人たちや、自分の家族に、この洗濯でいいのか?この掃除でいいのか?って」と、仕事にのめり込み、現在に至る。

「経験も資格もないけど、人に求められることに答えることが楽しい」 と、株式会社特殊衣料の代表取締役社長、池田啓子さんは語る。

北海道の冬場、足腰の弱い人をはじめ、元気な人でもちょっとした不注意で足を滑らせ頭を打ってしまうことがある。
当時、特殊衣料で作っていた保護帽は、帽子というより、ボクサーが被るような「ヘッドギア」だった。
「日常生活で、そんなものは被りたくない、軽くて、おしゃれで、女性がファッションとして被ることができる帽子が欲しい」という声が強かった。
そこから転倒などの衝撃から頭を守る帽子「アボネット」が生まれることになる。札幌市立高等専門学校の森田敏昭助教授がデザインの監修を担当、特殊衣料が培ってきた保護機能のノウハウと合わせていくことになる。両者のことをよく知る札幌市経済局が間を繋いだ。

「デザイナーのおかげで、今まで両立しなかった保護とデザインが合わさっていった。そして、経済局をはじめ、いろいろな人たちが引き合わせて、支えてくれたからできたこと。できなかったことがどんどんできるようになる喜び。本当に嬉しかったわ」と、当時を思い出しながら池田さんは語る。そうして出来上がったプロジェクト開発第1号の「アボネット」は、さっぽろ雪まつり会場でのモニタリングなどを行い、認知度を高めていった。並行して受注生産を行いながら、改良を加えていくこととなる。

2002年には丸井今井デパートで販売が開始されることになった。既製品を作るにあたり、札幌オリンピックの聖火ランナーの帽子を製作した、札幌の帽子職人に指導を依頼した。質を高めるとともに、製作に当たる従業員の意識が変わったという。合わせて、デザイナーを雇い、技術とデザインを高めていった。

2003年にグッドデザイン賞をはじめとした3つの賞を受賞。デザインと機能の両立したアボネットは多くの人に認められた。
そして、2004年、北海道電力の検針員の冬の帽子に採用される。好評のため、夏用のメッシュになったタイプを開発する。
「もっと快適に使ってもらいたい」と考え、おでこから後頭部のサイズを図るためのメジャーを考案。一人一人の頭の形に合った帽子の型を作れるようにした。

「まず最初にニーズがあった。何もないところから生まれたことはなかった。注文を受けてから、みんなでどうしようかって。意見をくれる人、アイディアを出してくれる人、安心して開発させてくれる人、いろいろな意味で、人に恵まれていたんだね」と、池田さんは今までの経緯に感謝する。

「これからも、求められる限り、新しいものにかけて行こう」、人生の先輩の一言に大きく励まされた、一日だった。

(2007年1月25日・N.I.)

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