「日本でいちばん」のランドセルメーカー「協和」②「強い会社」になるために

 株式会社協和 若松秀夫専務講話②(2017年9月22日)
 坂本光司教授『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ4に掲載のランドセルメーカー、株式会社協和(東京都千代田区)の若松秀夫専務の講話の詳報の2回目。経営の手段である「強い会社」になるために重要なことについて論じている。(メモ・研究生/中小企業診断士 神原哲也)
「求心力は経営理念」
 強い会社になるために最も重要なのは経営理念の浸透です。(創業家は私の代以降は協和の経営から外れ、株主からも外れる方針なので)何が求心力になるのかといえば経営理念になるからです。
 経営理念の浸透のためには、繰り返すことと、熱意を持って話すこと、しかありません。社内メールで全従業員と繋がっています。毎月6000通をやりとりしています。
 協和は毎日朝礼をしています。小冊子を携行しています。社内研修・講演をやっています。オフサイトミーティングでは、企業の存在意義、企業の倫理、について、例えばそもそも俺たちなんで仕事しているの、などについて、会社の終わった時間から缶ビールを飲みながら議論しています。 
・「他社と異なる経営戦略」
 強い会社になるために経営理念に次いで重要なのは経営戦略です。
 天使のはね(セイバン)などランドセルメーカーはすべて専業の中、協和だけは専業ではありません。
 また協和は企画・製造・卸・小売の一貫体制をとっています。いざとなったら最後は自分の店で頑張るという体制。これも協和ならではの仕組みです。
 協和には自社ブランドがあります。ふわりぃ(ランドセル)、HIDEO WAKAMTSU(スーツケースとビジネスバッグ)、HeM(女性用ビジネスバッグ)…。グッドデザイン賞を17回受賞しています。半面、ライセンスビジネスは一切やりません。ブランドが育ったら取り上げられるからです。
 協和には第3者から絞れと言われるほど、ありとあらゆるほどの販路があります。今は百貨店やGMSなどが再販のルートが厳しくなっているのですが職域、学校、通販の販路は順調です。
「安定して利益を出せる会社」
 ランドセル市場は人口減少の中、年間90万個から増えるはずがありません。また海外旅行が増えないのでスーツケース市場も伸びません。そこで、メンズバッグ、レディスバッグのビジネス用途に力を入れています。
 協和は20年以上、赤字になったことはありません(直近では経常利益4億円ほど)。試算表を翌月に朝礼で公表、説明してきました。その中の販管費からは人件費は外しています。なぜなら販管費の中で一番大きいのは人件費なのでそこに目が行くからです。他の項目、保管費、修繕費などの項目別に、総務と経理を担当に付けて、何が問題か考えてもらう、それを公表するようにしている。(30日アップの③に続く)
                  協和のランドセルは「ふわりぃ」

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