EV電池開発、次世代の先まで

前日、名古屋市でリチウムイオン電池の丸秘セミナーを受講していた。
日曜日のガッチリマンテーでも森永さんが全固体電池のことを言っていた。

蓄電量と蓄電時間、コストに問題がある。

中国でとんでもないものが開発されているかもしれない。
自動車だけでなくあらゆるバッテリーに関連している。

EV電池開発、次世代の先まで
サムスンが「空気電池」 航続距離2倍に
2017/11/8付日本経済新聞 朝刊

 サムスン電子は電機業界で究極の充電池と呼ばれる「リチウム空気電池」を開発する。
中央研究所にあたるサムスン総合技術院で、電池1キログラムあたりの蓄電容量が520ワット時の試作品を製作した。
トヨタが2020年代前半に実用化を目指す「全固体電池」の次の世代での世界標準を狙う。

 代表的なEVである日産自動車の新型「リーフ」はフル充電時の走行可能距離が400キロメートル。
サムスンの試作品を自動車用に製造すると理論上、700キロメートルを超える。
主要部材の絶縁膜(セパレーター)の厚さを20マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルと従来の1割以下に改良。
薄型化により電池セルの使用量を増やせるため蓄電容量が高まった。

実用化に課題
 30年までの実用化を目指すもようだが道のりは長い。
試作品では充放電を20回繰り返すと性能が大幅に劣化する。
数千回とされるEVに求められる充放電の基準を満たせず、1回のフル充電に数時間かかる問題も残る。
主要部材である正極や負極の素材や形状を改良し電池寿命や利便性を高められるかが課題になる。

 サムスンはグループのサムスンSDIが自動車用のリチウムイオン電池事業を広げている。
トヨタが実用化を目指し、次世代品として有力視される全固体電池についても研究開発を続ける一方、その次の世代を見込むリチウム空気電池の実用化で先行したい考えだ。

 世界で急速に浸透し始めたEVの動力源はリチウムイオン電池が現在の主流だ。
トヨタがハイブリッド車(HV)に早くから使ったニッケル水素電池などと比べて容量を大きくできる。
日本メーカーが開発で先行したが、技術がアジアに広がり、パナソニック、サムスンSDIと韓国LG化学に加え、中国勢が世界シェアを競う。

 通常のリチウムイオン電池はイオンを伝達する電解質に液体材料を使う。
これを固体化した電池が全固体電池だ。正極と負極の間にある固体の電解質がイオンをやり取りする。
電解質が劣化しにくいため長寿命で液漏れや発火などの危険が少ない。充電時間の短縮や大容量化が期待できる。

 トヨタは全固体電池の開発に既に技術者200人の態勢を整えた。
ディディエ・ルロワ副社長は「試作品は既にあり、次の段階は量産への準備だ。
この技術は今後『ゲームチェンジャー』になりうる」と話す。

 トヨタやサムスンだけでなく多業種の大手が全固体電池の研究を進めている。
自動車部品の独ボッシュは全固体電池を開発する米シーオを買収した。
米アップルも16年に関連技術者の公募を始めた。
大阪府立大学の辰巳砂昌弘教授は自動車向け全固体電池の実用化の時期を23年ごろと見込む。

コスト削減期待
 一方、リチウム空気電池は正極の触媒で空気中の酸素を取り込む。
その上で負極のリチウムと化学反応させて電気を起こす。
理論的には従来の電池より高いエネルギー容量を実現できる。
材料を減らせるので小型軽量化やコスト削減が期待される。
サムスンのほかに日本の物質・材料研究機構や東北大、トヨタなどが研究開発を進めている。

 自動車のパワートレイン(駆動装置)は半年前まで、ガソリンエンジンが中長期でも主流だと見られていた。
しかし、英仏中が将来的なガソリン車の販売禁止の検討を表明したことで、自動車業界を取り巻く環境が変わり始めている。
電池を使ったモーター駆動の自動車の比率が徐々に高まるのは確実な情勢だ。

 これに伴い電池の市場も急拡大する。
調査会社、富士経済によると16年に1兆4千億円だったEVなど環境対応車向けの世界の電池市場は25年に6兆6千億円になる見通し。
素材など関連産業への波及効果も大きい。

 各国当局の動きを受け、独フォルクスワーゲンを筆頭に米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車と世界の自動車メーカーは次々にEV戦略を明らかにしている。
急激なEVシフトは緩やかに進んでいたリチウムイオン電池の技術革新の背中を押すだけでなく、その次の電池にステップする時期を前倒しするよう促している。

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