働き方の見直しとメンタルヘルス:行動医学の視点から考える

毎週金曜日に「人に大切にする経営学会」会員に送られるメルマガ、11月17日のメルマガの巻頭言。

メルマガでは学会TVもあり、過去の分をいつでも見ることができます。
動画ですので、身近に感じます。

働き方の見直しとメンタルヘルス:行動医学の視点から考える
人を大切にする経営学会 常任理事 島津 明人
北里大学 教授
第24回日本行動医学会学術総会・大会長

近年,わが国では,産業構造の変化,情報技術の進歩,共働き世帯数の増加などに伴い,従来の働き方を見直す必要性が高まってきました。
また,働き方改革や健康経営などの言葉に代表されるように,従業員の健康を重要な経営資源と位置づけ,経営戦略の一部として従業員の健康支援に取り組む動きも加速しています。

今回のメールマガジンでは,このような社会経済状況の変化において,従業員の健康の維持・増進に,私が専門とする行動医学がどのような役割を果たせるかについて,考えてみたいと思います。

1. こころの健康のポジティブな側面への注目
従業員一人ひとりが健康でいきいきと仕事に取り組むことは,従業員の幸せにとっても,組織全体の生産性にとっても重要ですが,これまではメンタルヘルス対策と経営とが相互に協調することなく,展開されてきました。

しかし,健康経営への関心の高まりに見られるように,従業員の健康を重要な経営資源と位置づけ,経営戦略の一部として従業員の健康支援に取り組む動きも広がっています。
今後,どのような取組が生産性を向上させ,かつ健康の増進にも効果を上げるのかについての科学的根拠を蓄積する必要があります。

ワーク・エンゲイジメント(健康でいきいき働くという考え方)は,生産性の向上と健康の増進の両方につながることが明らかにされており,ワーク・エンゲイジメントを高める手法の開発と効果評価研究の蓄積が望まれています。

2. 仕事外要因への注目
これまでの職場のメンタルヘルス対策は,働く環境や働き方をいかに改善し向上させるかという視点が中心でした。
しかし,労働者のこころの健康は,職業生活だけによって決まるわけではありません。

たとえば,家庭・地域での生活状況(家事,育児,介護などの負担や家族・友人などからの社会的支援),ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭生活の調和),余暇の過ごし方,リカバリー経験(就業時のストレスから回復するための時間の過ごし方)などが労働者の健康と関連することが,近年の研究で明らかになってきました。

つまり,従業員のメンタルヘルス問題を考える場合,働く環境に注目するだけでなく,労働者を取り巻く環境を多面的に捉え,包括的に支援する視点を持つ必要があるのです。
そのためには,多様な働き方を許容する職場や社会の仕組みを整えることが重要と考えられます。

3. 働き方の見直しと行動医学
私たちの働き方と健康,経営との関連を考えるための学会(第24回日本行動医学会学術総会)が,12月1日(金),2日(土)に聖路加国際大学で開催されます
(http://jsbm2017.com)。

在日本フィンランド大使による基調講演のほか,働き方改革,ストレスチェック

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