こんの【No3いい会社視察2017/9/4 + 2015/5/9紺野社長ご講演in法政大学】

この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てれば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

今回は2015年3月「第5回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『株式会社こんの』さんをご紹介致します。
http://www.konno.gr.jp/index.html

 株式会社こんのは福島県福島市にあります。現社長のお父様が昭和26年に設立しました。創業時はくず鉄収集業だったようですが、現在では古紙回収や廃棄物の収集運搬が主な事業です。現代表の紺野道昭社長は小学6年生の時からアルバイトをし、“ぼろ屋の息子”とからかわれた記憶があり、泣いたりいじめだと感じたことはなかったといいますが、そんな仕事なんだと子供ながらに感じたそうです。

 家業には平成3年に入社していますので、ちょうどバブル真っ只中です。当時の男性社員はほとんどがパンチパーマ、出勤しない社員に電話をすると“昨日飲みすぎた”といって当たり前のように休んでいたこと、バブル期は採用も芳しくなく10回求人広告を出して応募1人いるかどうかという状況、あるとき候補者が本社へ面接に来てもそのまま中に入らずUターンして帰ったこともあった、と紺野社長は当時を振り返ってくれました。

 また離職率が100%を超えた時期もあったそうです。通常、離職率は従業員全体に対して1年間にどれだけ退職したかで算出しますので、採用者一人が辞めただけではなく従業員を含めて短期間で次々と辞めてしまったことになります。

 紺野社長は当時の目標を、“普通の会社にすることが夢だった”と話してくれました。多くは語られませんでしたが、原因不明の体調不良で入院したこともあったと言います。きっと大きな責任と重圧を一身に正面から受け止めていたのだと想像します。

 どんな会社にしたいか?社長は幹部と泊まり込みでとことん話し合いました。そんな頃、『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)との出会いがありました。坂本光司先生の講演にも何度も足を運んだとのことでした。

 その後の一つ一つの積み重ねがあり現在の同社があります。採用現場では、毎年新卒採用を迎えて順調だそうです。さらに驚くべきことに離職率はここ数年ゼロです。また9か所すべての事業所において障がい者を採用していて、古紙の分別作業など健常者よりも根気よく働いているとのお話でした。3Kと言われる業界であっても、人を大切にした経営で地域や社会から必要とされる存在になることができると証明しています。

 同社は現在BtoCの業態を伸ばすことを実践中です。すでにFC事業として平成16年にドトールをオープンしています。今では全国のドトールの中でベスト10に選出されています。(平成30年4月にはお客様から感謝のお手紙がドトール本社へ届いたという紺野社長のfacebook記事を拝見)また、平成30年4月には大戸屋をオープン予定です。(お話を伺ったときには“予定”でしたが予定通りオープンになっています)本業の古紙回収においてもBtoCへ向けたビジネスを模索中と伺いました。従業員の働く幸せを念頭にしたBtoCでもあり、今後どのような展開となるのか今から楽しみです。

 紺野社長のおもてなし精神はちょっとまねできないほどです。今回のご訪問前日には懇親会がありましたが、その場での数々のおもてなしやサプライズは驚くほどでした。いまでもその記憶が残っています。懇親会を含めた同社との記憶がこれからの紺野社長や同社への思いに繋がっています。

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