従業員という言葉への違和感

先日、ある経営者と話しをした際に、ある話題が出た。
それは「従業員」という言葉への違和感に関することだった。
私たちが何気なく使っている従業員という言葉に、
以前から違和感があるという。
実は、私もそれでは何が正解なのかといわれると分からないが、
同様に違和感を持っていた。

そこで、従業員の言葉の意味を調べてみると、
「雇われて、ある業務に従事している人」と記載されていた。
業務に従事している人なので、意味としては間違いはないとは思う。
ただ、別の解釈をすると、「雇われて、業務に従わされている人」
と捉えることもできなくはない。

いずれにせよ、「雇われて」という言葉に、
どうしても企業側からの目線、企業と従業員の上下関係を
少なからず感じてしまう。

企業と従業員の関係は様々あるが、
少なくとも主従の関係ではないように思う。
実際、当学会会長の坂本光司氏は、
企業経営の目的の1つとして、
企業経営の目的を追求・実現するためには、
経営者は関係する人々が、
「自分たちは企業から大切にされている」と、
実感する経営をトコトン行わねばならない。
といっている。
 
さらに、関係する人々が幸せを実感し、
働きがいの高い企業で、業績が低い企業は歴史上存在しない。
一方、業績や勝ち負けを過度に追求し、企業経営の
最大の目的・使命を疎か・ないがしろにしている企業で、
長期にわたり繁栄した企業は歴史上存在しない。
つまり、業績や勝ち負けを追及する経営をしている企業では、
最も重要な「人」をコスト・原材料・景気の調整弁のように
評価位置づけてしまっているともいっている。

企業経営で最も重要な人とは、坂本氏も常に言っている通り、
「社員とその家族」である。
それは、お客様が喉から手が出るほど欲しい商品を
創造するのは社員だからであり、またお客様が感動し、
ファン・リピーターになるような価値あるサービスを
提供するのも社員だからだ。
それゆえ、所属する企業に不平・不満を持ち、
大切にされていないと感じている社員が、
企業の業績や上司の出世を手伝うようなことは
正直ないと思う。
やはり、ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし
なのである。

その意味でいえば、従業員という言葉を変えろというのは、
これまで使われてきた言葉でため、なかなか難しいかもしれないが、
企業と従業員の関係性と意識をもう一度見直し、
従業員を「一人の人財」としてみているのか。
自社に所属することで、従業員が喜びをかみしめられるような
経営ができているかを考えてみてはどうだろうか。

人を大切にする経営学会 事務局支援スタッフ 坂本洋介

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「従業員という言葉への違和感」への1件のフィードバック

  1. 私も経営者の端くれですが、最近ずっとこの言葉に違和感を感じていました。社内文書にも「皆さん」や「スタッフ」など使用するようにしていますが、なんかどれもしっくり来ていないのが現状です。本日、もしかしてとネット検索したらここにたどり着き文章読ませて頂き、共感しました。人財も当社で使っている言葉です。株主のために、顧客のために、と言いますが、私はまずは弊社に在籍してくれている皆のためにと思って、魅力ある会社作りを心掛けています。それがお客様へも伝わると信じて。お蔭様でこのコロナ禍でも皆の頑張りで増収増益を達成できる見込みです。想定以上に出た利益は当然、全スタッフへ還元します。法人税より所得税です。何か話が脱線しましたが、同じことを考えていた方がいたのが嬉しくつい書き込みました。このようなご時世ですのでご自愛ください。