著書「働き方改革の嘘」からの引用

「人を大切にする経営学会」のことも紹介している、久原穏氏の最新刊『働き方改革の嘘』を読了しました。本書のなかで、CHOという概念が紹介されており、とても興味深いので、簡単に引用し、感想を記します。

皆さんは「CHO」という言葉を聞いたことがありますか? 
たとえば「CEO」とは、最高経営責任者(Chief Executive Officer)のこと。
たとえば「CFO」とは、最高財務責任者(Chief Financial Officer)のこと。
たとえば「CIO」とは、最高情報責任者(Chief Information Officer)を指します。
それでは、ここで取り上げた「CHO」とは何か?

サンフランシスコでは、
社員の幸福度を重視する役職――Chief Happiness Officer 制度を導入し、
社員の幸福をデザインする企業が増えている、と本書には書かれています。

つまり、このCHOの「H」は「ハピネス」の「H」のことだったのです。

アメリカの心理学者の研究では、「幸福度の高い社員は、そうでない社員に比べて生産性は
30%、営業成績は37%、創造性にいたっては3倍も高くなる」――という結果が出たとのこと。

また、日本では、エンゲージメントレベル(会社に対する愛着心や思い入れ)が「非常に低い社員」が45%もおり、これは先進国の中でも突出して多いことが、労働力調査によって知られています。

これらの2つの事柄は、如実に次のことを顕示しています。会社は社員を大切にしているか、そして社員は会社に対して愛情を持っているかが、今後ますます問われる時代になっていく、ということを。

今年2018年、私は原田左官工業所さま、坂東太郎さま、サイベックコーポレーションさま、ツムラさま、能作さま、松山油脂さま、HEADS(ヘッズ)さま、生活の木さま、合掌苑さま、伊那食品工業さま、ふらここさま……と毎月11社を視察にお伺いしました。

すべてが、社員を大切にし、社員とその家族の幸福度を上げる取り組みをしている企業です。だからこそ社員はそんな会社に愛着を覚え、企業発展のために力を尽くそうとするのでしょう。

どんなに仕組みや制度を変えても、この心情がない限り、現場の生産性は上がりません。新しい働き方を受け入れる土壌も生まれないことだろうと私は思います。

本書『働き方改革の嘘』では、政府が掲げている働き方改革関連法案などは「働く人のための改革ではなく、働かせる側のための改革なのだ」と断じています。

政治は、いつの時代も短期的な成果に焦点を合わせて政策を打ち出すものです。ですから私たち経営者は、政策に振り回されない経営基盤をつくり、もっと長期な視点で経営のかじ取りをしていく必要があります。

本書は次の言葉で結んでいます。
「働く人が安心して働き続けることができる雇用の安定」――これこそが、何より大切である、と。まさにこれからの時代、企業に求められている資質と受け止めました。

人を大切にする経営学会 人財塾生 横山 信弘

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