清川メッキ工業株式会社【No46いい会社視察2014/9/8】

今回は2014年9月に坂本ゼミ夏合宿先のひとつとして訪問させていただいた『清川メッキ工業株式会社』さんをご紹介致します。当日は清川卓二専務取締役にお話を伺いました。
2015年の「第5回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」では、中小企業長官賞を受賞されています。

http://www.kiyokawa.co.jp/
同社は現会長の清川 忠氏が23才の時に創業されためっき専門の会社です。
現在では通信・自動車・医療・宇宙分野を中心に、電子部品や半導体のめっきを行っています。ちなみにApple社のiPhone(当時の製品)には100~200個の同社製品が使用されているそうです。


●概要
本社所在地 福井県福井市和田中1-414
創業 1963年3月(1968年11月株式会社設立)
資本金 4,000万円
役員 代表取締役会長 清川 忠
代表取締役社長 清川 肇
社員数 278名(内女性85名)2018年4月現在
平均年齢 35歳
事業内容
表面処理(各種電気めっき、無電解めっき、機能性めっき、化成皮膜処理、アルミニウムの陽極酸化)
主要めっき品(電子部品、マグネット、半導体ウエハー、その他先端材料)
環境にやさしいめっき(シアンレスめっき、鉛レスめっき、クロムレスめっき)

●めっき
めっきはどこでも誰でもできるといいますが、その差別化が重要だそうです。
“めっきを辞書で引くと「表面だけを飾り、中身を偽ること」”と清川専務のユーモア交じりの説明が聞く側を引き込んでくれます。
清川のめっきとは、“人を、ものを、活き活きさせるめっき”と定義しています。

●PDCAではなくSAPD
同社ではP(プラン)よりS(スタディ)がより重要だと考えています。計画を立てるより真っ先に勉強してからやってみて計画を立てるのです。従ってStudy→Action→Plan→Do SAPDとなります。
社内を見学させていただくと、各部門には、部門や個人の目標、SAPDの内容が掲示されていました。同社の雰囲気や風土を感じつつ、部門・個人の目標管理などがしっかりと見える化されており、社員の皆さまの自己成長と会社の方向性が同一方向にあることがよく分かりました。

●新入社員離職率の改善
1998年、新入社員の入社3年間の離職率は37%だった同社。当時めっき業は3Kや5Kと言われた業界でした。しかし“何のために働くか”について社員と真剣に向かい合う同社のぶれない研修が、2014年では離職率6%(年率では2%)へ大幅な改善がなされています。
その表れのひとつとして顧客数は1998年に比較して17倍に増加しています。

●品質管理
同社はISO9001、ISO14001を取得。
ISO14001ではASRPという厳しい認証を世界初で取得した業界だけでなく日本をも超えた品質レベルを誇る会社です。
*ASRPとは、Advanced surveillance and reassessment procedures(先進的サーベイランス・更新審査手順)の略。

●高齢者や障がい者のための野菜工場稼働 https://www.pureriver.jp/
同社は60才定年、65才までは再雇用制度があります。しかしまだ働きたい人や障がい者雇用促進のために新事業として野菜工場を立ち上げました。同社が得意とするめっきの溶液技術を応用した溶液管理による野菜工場です。
2014年5月に出荷を開始。現場では毎日種まきがあり、毎日収穫・出荷があります。
特定の障がいをもつ人には、同じ作業や対人関係を求めない安定的な仕事がフィットします。同社の得意分野を活かした農業の仕事はきっと働きやすい職場になることでしょう。

●最後に
同社はナノテク研究所を有するなど研究開発部門を充実させています。下請けとしてのめっき業ではなく、技術を磨く同社の姿勢は特に製造業では存在価値を高めていく何よりの方法といえます。
さらに驚くことに同社には実質的に営業マンはゼロとのことです。口コミや信頼、紹介による好循環型安定成長と言えます。
モチベーションの高い社員が高い技術を追求して獲得したことで、創造的な破壊のようにめっき業の概念を覆しています。
従来の製造業ではなく、環境適応業・市場創造業・人財育成業という指標が腑に落ちる新しいめっき業を目の当たりにした想いでした。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

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