働き方改革と就業規則②

働き方改革と就業規則②

▼就業規則の第1条は・・・
皆さんの会社の就業規則第1条はどのように
記載されていますでしょうか。
 厚労省の就業規則モデルの第1条は、
「第1条 この就業規則(以下「規則」という。)は、
    労働基準法(以下「労基法」という。)第89条に基づき、
    〇×株式会社の労働者の就業に関する事項を定めるものである。
    2 この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、
    労基法その他の法令の定めによる。」
となっています。
就業規則について法令で定められているのは主に
労基法89条であり、我が社の就業規則に定めていないものも、
法令によるというのは当然のことです。
ということは、厚労省には怒られそうですが、
第1条はあまり意味はないと言わざるを得ません。

▼理念を第1条に!
会社の理念とは、その企業の存在目的や使命をいいます。
「経営理念は、企業経営を行っていく上での、
その企業の憲法であり、全社員が考え行動する場合の
精神的支柱といっても過言では」ないと坂本光司先生は断じます
(「いい経営理念が会社を変える」より)。
このように大事な経営理念が、就業規則のどこにも
出てこないのはおかしいと思いませんか。
憲法であるならば、やはり経営理念は、就業規則の第1条に
据えるべきだと思うのです。
例えば、こんな感じになります。
「第1条 我社の経営理念は、・・・・・・・・・・・です。
   2 経営者は、前項の経営理念に基づき円滑に企業を運営し、
社員は、 前項の経営理念に基づき職務を全うします。
   3 本就業規則は、第1項の経営理念に基づき解釈されます。」
厚労省の就業規則モデルよりも、よっぽど意味にある
条項になっていると思うのですが、いかがでしょうか。

▼このように第1条に経営理念を記載すれば、
社員の服務規程も当然に経営理念にそって実施されることとなります。
社員は、いつも経営理念に照らしながら、自らの行動を顧みる
義務が生じるのです。
 就業規則は、記載すべき条項の指定は労基法上ありますが、
社員の権利を不当に害さない限り、何でも盛り込むことができるのです。
世界に一つしかない我が社だけの就業規則であれば、
今まで以上に就業規則にも愛着が沸くのではないでしょうか。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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