社会福祉法人 共生シンフォニー【No52いい会社視察2015/2/20】

今回は2015年2月に坂本ゼミの春合宿としてご訪問した『社会福祉法人 共生シンフォニー』さんをご紹介致します。
当日は常務理事;中崎ひとみさんにお話を伺いました。中崎さんは同法人設立前から関わり、中心事業であるがんばカンパニー(お菓子事業)を大きく育てた方です。

●概要(現在のHPから) https://gambatta.net/
所在地 〒520-2145 滋賀県大津市大将軍2-31-5
役員 代表理事 明智大二郎  常務理事 中崎ひとみ
設立年月日 1986年4月1日
基本財産 97,600千円
従業員数 133人(内A型利用者社員69人、障害者職員1人)
常勤職員 34人、パート職員30人、常勤利用者社員20人、パート利用者社員49人
利用者数 171人(障害者)14人(高齢者)| 2018年7月1日現在
業務内容
1.食料品製造業・焼き菓子製造
2.第2種社会福祉事業・障害福祉サービス 就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護
3.介護保険事業・老人デイサービスセンター
施設
・がんばカンパニー(就労継続支援A型 定員40人)
・まちかどプロジェクト(生活介護 定員20人)
・あんふぁんカフェ(就労継続支援A型 定員20人)
・あんふぁんカフェ 給食出張所(就労継続支援A型 定員20人)
・くれおカレッジ(就労移行支援/自立訓練(生活訓練) 定員20人/20人)
・日吉台デイサービスセンター ぬくとば(介護保険通所介護 定員10人)
・りぼーんスイッチ (自立訓練(生活訓練) 定員10人)
・夢創舎(ゆめつくりや)(多機能型 就労継続支援B型/生活介護 定員14人/6人)

●設立のきっかけ
ご本人が脳性麻痺という重度の障がい者だった門脇謙治氏。
普通であれば生涯、自宅や施設で暮らすことを余儀なくされる障がいを持っていてもなお、社会に出ることを強く望んだ門脇謙治氏。
自らの行動から共生シンフォニーの前身となる“今日も一日がんばった本舗共働作業所”を設立した創立者です。
今は故人となった門脇謙治氏の想いが共生シンフォニーを実現させました。
また中崎さん自身はシングルマザーであり、息子さんが重度の自閉症だと伺いました。
夜はアルバイトをしながら、日中に障がい者のための働く作業所を運営。私生活ではライフラインが順番に止まっていく過程を経験するほどその人生は苛酷でした。時には障がいのある人が、その年金で助けてくれたと言います。
門脇謙治氏の想いに始まり、関わる人達が共に助け合い生きていく場所が原点でした。

●メイン事業であるがんばカンパニー(お菓子工場)

クッキー生産量は1日1トン、多い日は2万袋を製造。製造工程の一部は機械化をしていて、福祉のための工場から、生産力や競争力を意識したビジネスの視点を感じました。
一時期、年間売上2億円を達成。しかし大口顧客との取引がなくなり訪問時では1.4億円とのことでした。
平均の給与(工賃)10万円。7万円~最大24万円といいますから、かなりの高水準を達成しています。

●一般企業以上にきれいな施設


同社の工場は非常に整理整頓されて隅々まで綺麗な工場でした。
そこには理由があります。
ある時一般の人に、“障がい者施設は汚い”と言われたと言います。
その時の悔しさから今の綺麗な施設が生まれています。視察ではとても清潔感溢れた施設だとわかります。その甲斐あって今では大手の通販会社との取引が始まっています。他に京都大学、龍谷大学、京都駅、百貨店等、安定的で大きな販売先が多いと感じました。しかも営業担当者はいないとのことです。

●多くの業務と作業の工夫
障がい者一人一人できることに違いがあります。例えば難易度1~10の業務があるとすれば、1,2,3だけできる人や1.3.8.10ができる人がいます。しかも誰もが簡単な業務の順にできるわけではありません。日々パズルのような組み合わせの中で工場の製造が障がい者中心に組み立てられています。また仕事に集中するために1時間ごとに役割を変える方法がとられていました。
1年ほどでさまざまな業務をこなせるようになった障がい者は企業就労をチャレンジしています。
業務は工場の製造部門だけでなく全国への出荷、経理や取引先とのやりとりも障がい者が担っています。忙しい時期には残業や休日出勤もあります。
給与は一部を毎月積み立てして、多くの人が社員旅行を楽しみにしています。

●印象的だった言葉
“いつの日か共生シンフォニーがない世の中になってほしい”
“障がいのある人もない人も共に地域で当たり前に暮らそう”
“もし障がい者を認定する区分が300くらいあればだれでも障がい者”(現在は7区分)

●最後に
2009年12月には中崎 ひとみさんが共生シンフォニーでの功績を認められてヤマト福祉財団から小倉昌男賞を受賞されています。中崎 ひとみさんが発するひとつひとつの言葉の力強さは今も記憶にあります。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です