従業員の満足度や、やる気の向上が株価に好影響を与えている!

3月22日(金)の日本経済新聞の1面に掲載されていました。

「投資家、企業の背中押す。人への投資、原資は200兆円」

人件費を単純なコストを単純なコストとみなす考えは投資家の間でも薄れてきている。従業員に報いる企業ほど株価が上がりやすい傾向が明確になってきたためだ。企業が前期まで最高益を上げる一方、付加価値に占める人件費の割合である労働分配率は全体で下がり続けてきた。だが、株式市場の評価は別だ。

「従業員の満足度や、やる気の向上が株価に好影響を与えている」

「労働分配率で上位企業の株価は下位企業を年平均4%上回る」

「働く時間が短くなっても賃金が増えた企業の株価は上がりやすい」

投資家が「人件費をコストではなく、報いる企業がこそが伸びる」と考えているということなのでしょう。

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ヒトへの投資、原資は200兆円 企業の背中押す投資家
ニッポンの賃金(下)
2019/3/22 5:41 日本経済新聞

「上げ幅には驚きましたが、人材確保につながるのであれば賛成します」。ラーメン店を運営するハイデイ日高の島需一取締役は国内外の投資家にこう言われる。正社員を対象に1万円のベースアップを昨年実施。賃上げによるコスト増への反発が気がかりだったが、むしろ背中を押された。

■満足度が株価に

店舗に人材が集まらなければ成長どころではない。パート従業員とアルバイトの時給も引き上げた。この15年、増収増益を続ける同社は「従業員の待遇改善は今後も続ける」という。

人件費を単純なコストとみなす考えは投資家の間でも薄れている。従業員に報いる企業ほど株価が上がりやすい傾向が明確になってきたためだ。企業が前期まで最高益を上げる一方、付加価値に占める人件費の割合である労働分配率は全体で下がり続けてきた。だが、株式市場の評価は別だ。

労働分配率で上位企業の株価は下位企業を年平均で約4%上回る――。日興アセットマネジメントが02年以降の株価を分析した結果だ。石川康オルタナティブ運用部長は「従業員の満足度や、やる気の向上が株価に好影響を与えている可能性がある」と話す。堅調な業績を起点に賃金で報い、それが利益成長を後押しする好循環が背景にある。

■残業代5兆円減

働き方改革で労働時間が短くなれば、日本全体の残業代は年5兆6千億円減少する。みずほ総合研究所はこう試算するが、改革が単なる所得減を招けば現場の意欲が下がりかねない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が注目するのが従業員目線の「投下労働利益率」。働く時間が短くなっても賃金が増えた企業の株価は上がりやすいという。

清水建設は工事の協力企業が週休1日から2日制に移るのに伴い、日当を上げて手取りが減りにくくする。欧米の投資家から「否定的な反応はない」(曽根豊次常務執行役員)。

「サプライヤーが従業員に十分な賃金を支払っているのか確認してください」。大手運用会社のアムンディは投資先の企業に要請を始めた。世界の投資先19社、うち日本では良品計画など2社に働きかけている。アムンディ日本法人の近江静子ESGリサーチ部長は「人件費増は短期的には収益にマイナスだが、長期的な成長を考えれば避けて通れない投資だ」と話す。

改革の成果を従業員に還元する手法は様々だ。システム開発のSCSKは自宅などでの勤務を認めるリモートワークを推進。同制度を月に3回以上利用する場合、年間で1万円の光熱費を支給する。18年の件数は前年比で約2割増えた。

かつて設備、債務、雇用の「3つの過剰」に直面した日本企業は賃金の抑制を余儀なくされた。200兆円強と過去最高水準の現預金を抱える現在、向き合うのは人手不足だ。潤沢な原資を賃金に振り向けて成長を目指す局面に入った。

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