社員満足度と、転勤・単身赴任の在り方について想うこと

今年4月から人を大切にする経営学会人財塾二期生として入塾しました。年齢や経験は様々ながら、志の高い同期の皆さんに囲まれて、また坂本先生をはじめ、素晴らしい先生方に学んでいく特別な時間をいただいたことに感謝しています。

坂本先生の講義ではたくさんの資料が配布されます。その中に「単身赴任を問う(フジサンケイ、2019年2月)」がありました。
これまで企業が当たり前のように社員に強いてきた「単身赴任」、あるいは「遠隔地への転勤」が、社員や家族の当たり前の生活、幸せを奪ってきたのではないか。社員満足度無くして顧客満足度はあり得ないのだから、その点からは見直すべきなのではないか、という記事です。

この記事を順番に音読したあと、私は涙があふれて止まらなくなりました。思いがけず泣いてしまったのには理由があります。
私も単身赴任の家族だったからです。子供として、また妻として経験しました。
父は全国をとび廻る営業でしたので、物心ついた頃から単身赴任で九州や北陸・東北に行っており、「家にいない家族」でした。妹は幼い頃、父が帰ってきても父とわからず、母の背中に隠れていたことがあったそうです。あの頃はわかりませんでしたが、家族と離れ、仕事を頑張ってきた父のことを思うと、涙があふれてきました。

妻としての体験は、夫の遠隔地への転勤に伴う「離職」でした。もし離職していなかったら違った人生になっていたと思います。どちらが良いとは言えませんが。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2016年に実施した調査では、もともと共働きだった夫婦で家族帯同したケースのうち、男性の配偶者である妻は国内転勤で73.3%、海外転勤で88.4%も離職しているそうです。

また、調査対象企業のうち約1/4が、既婚者が転勤する場合に会社として「家族帯同が原則」としているそうです。また調査対象社員は、直近の転勤時に家族帯同をしたのは国内転勤で 45.0%、海外転勤で52.5%にもなります。40歳代以上では単身赴任比率は過半数と高くなっています。

単身赴任にしろ、家族帯同にしろ、社員・家族の生活に何らかの変化を強いることとなり、多かれ少なかれ、人生を変えてしまうことが多いのが現状ではないでしょうか。

企業経営の中でこれまで当然としてきたことを、原点的に見直すべきに時期に来ているという坂本先生の言葉に強く心を揺さぶられました。

人を大切にする経営学会人財塾生 有村 知里

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