働き方改革と就業規則⑰

働き方改革と就業規則⑰

▼「派遣 同一賃金じわりー来春施行、まず交通費支給
2019年9月4日日経新聞朝刊によると、これまで派遣会社では給与に
「通勤費用も勘案して設定」されるのが通例で、
交通費を別に支給することは無かったそうです。
ところが、「同一労働同一賃金」ルール適用に向けて、
派遣会社では交通費支給から対応をしていくようです。

まずは手当の対応から
同一労働同一賃金ルールが来年から施行されますが、
基本給等については、これまでのブログでも紹介しましたように、
各社のこれまでの給与体系に合理的な理由があれば、
同じ労働をしている場合においても、給与に差が出ること自体
問題とするものではありません。しかし、通勤手当、昼食手当、
寒冷地手当等仕事の内容に関係なく支給される手当については、
原則として正社員と同様に支給をすることとなります。
そのため、人件費にかかる費用が増加することは必至です。
これは派遣でも同じです。働き方改革によって改正された
派遣法によると、同一労働同一賃金の原則は、
①同じ仕事をする派遣先企業の社員に合わせる方式、
②働く地域や業務内容毎に国が示す賃金基準に応じて
派遣会社内で揃える方式、のいずれかを採用すべきこととなっています。
したがって、派遣契約を結ぶ企業にとっては、
その分の経費負担が高くなります。

▼派遣社員の在り方に変化が生じるか?
このように派遣契約をしても人件費としての経費が
ある程度割増しになることは確実であることから、
これまで人件費節減の観点から派遣契約を締結していた
企業にとっては、そのメリットは少なくなることでしょう。
これからの派遣契約のメリットは、自社で独自に新規社員を
雇用できない場合や、ある業務に特化した人財を必要とするような
場合に大きくシフトしていくことと思われます。
現行の派遣法では3年ルールがあり、同じ職場では
派遣社員として3年しか働くことはできません。
3年後は直接雇用とするか、他の派遣先を紹介するかですが、
これまでは多くは他の派遣先へ移っていたと思われます。
しかし、同一労働同一賃金の時代では、3年後は派遣先で
直接雇用という傾向になるかもしれません。

(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士 山田勝彦)

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