世界を変える若手経営者(ピープルポート株式会社)

人財塾生の松久です。先々週は「世代を超えて、いい会社の輪が広がり、世界が明るくなっていく。」とのタイトルで若手経営者からの学びをテーマに投稿させて頂きました。
今回は、もう少し具体的に若手経営者たちによる事業の1つをご紹介します。
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ピープルポート株式会社(神奈川県)  https://peopleport.jp/
設立: 2017年12月12日
従業員数: 5人
資本金: 900万円
経営者: 代表取締役 青山明弘

事業内容(再生中古パソコンの製造・販売
法人・個人から不要になった電子機器(主にPC)を無料で訪問回収、リユース・リサイクルして難民と日本の子供たちを支援するソーシャルビジネス。電子機器は 1 台10~250 円で買い取るが、回収依頼者にとっては処分費無料で十分なメリットがあるため、買取相当額を依頼者から子供支援団体へ寄付する形にしている。また、回収したPCの修理やパーツ分解などの作業は日本にいる難民認定申請中の外国人を雇用し、回収依頼者の実利と社会貢献性を実現している。

経営者(青山明弘)プロフィール
1990年生まれ。神奈川県出身。
幼い頃に祖父母から戦時中の話しを聞いて育ち、「自分の大切な人が理不尽に奪われる戦争・紛争」をなくしたいと考えるようになった。
高校時代、世界史の戦争についての時間には心の底から真剣に耳を傾けた。「何で戦争して人を殺さないといけないんだ」と強く思う。大学2年の夏休みにカンボジアへ行き、内戦、そして今も続く地雷の弊害を伝えるべく、自ら地雷原を歩いてドキュメンタリー映画を撮った。心に深く残ったカンボジアの方の言葉がある。「その時は相手を殺すしか生き延びる方法がなかった。とても貧しかったし、相手は悪い人間だとボスから言われていた。でも相手も同じカンボジア人で私と同じ子供をもつ父親だったかもしれない。話し合うチャンスがあったら状況は変わっていたかもしれない」その時、紛争は無くせると思いこの問題に人生を賭けていくと決意した。
当時、カンボジアでは日本政府の援助で地雷撤去活動が行われていたが、その1年後にプロジェクトが終了して資金がストップすると地雷撤去活動は終わってしまった。まだ多くの地雷が残り、日々事故に会う人がいるにも関わらず。
その後、バングラデシュのグラミン銀行への訪問、NPO活動への参加など模索を続け、社会問題の解決には“ビジネス”だと考えるようになった。ソーシャルビジネスしかやらない会社「ボーダレス・ジャパン」に出会い、入社。2017年、紛争の被害に遭い避難をしてきた難民の力になるべくピープルポートを設立。

事業優位性
仕入れの強さ:回収依頼者は、処分費節約に加えて環境保護(資源リサイクル)、社会問題解決(子ども・難民支援)に貢献できるため、他社と比較し当社を選ぶ。
高品質で低価格:低コストで回収した PC を修理または分解したパーツで組立てなおすため、新品 PC と遜色ない高品質のPC を安価(29,800~49,800 円)で提供できる。
データ消去の安全性:米国防総省規格準拠のソフトウェアでデータを無料で完全消去。データ消去の証明書も無料(一部有料)で発行する。

ビジネスモデル・市場規模
同社の中古ecoパソコン販売による収益は、純利益率で10%、2019年7・8月は黒字化を果たした。2018年度の国内PC出荷台数は740万台、出荷金額は7千億円を超え、前年比で約110%の伸びであった。(※1)国内PC市場の約2割を中古PCが占める。(※2)2015年時点での環境省データでは、国内のリユース規模は3兆1千億円(PC・周辺機器は844億円)、リユース品購入経験者は約3割であり、中古PC販売についても市場拡大の余地が大きいと見込まれる。(※3)
※1 https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/2018/
※2 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1011226.html
※3 http://www.env.go.jp/recycle/circul/reuse/confs/tokuhon_2.pdf

類似業者との差別化ポイント
中古PCを購買の選択肢として考えていない、およびPCスペックに関する知識が不足していることやアフターサービスの質に不安を感じることからネット通販でPCを買えない人たちをターゲットとしているため、大手家電量販店を類似業者と捉えている。Ecoパソコンの圧倒的な価格優位性と安心かつ安全なアフターサービスに加えて社会貢献性を的確にアピールすることで、新品購入を考えている顧客を量販店から誘導できると考える。

事業内容をもっと知りたい方へ
回収した電子機器を修理、分解・組立を行う工場見学を一般公開している。見学内容は①ピープルポートの事業内容・理念等の説明、②電子機器の整備・分解業務見学、③日本滞在中の難民スタッフとの対話、④質問タイムで構成する。約60分の見学コースで、同社のウェブサイト(https://peopleport.jp/tour/)から誰でも申し込みができる。
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ピープルポートが製造・販売している「ecoパソコン」を実際に「見てみたい」「買ってみたい」という方は、首都圏内の様々な商店街で販売会が開催されていますので、一度覗いてみてはいかがでしょうか。販売会の案内は適宜、同社からのツイッターで告知されています。
→ https://twitter.com/people_port

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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