働き方改革と就業規則㉑

働き方改革と就業規則 ㉑

パート・有期雇用の賞与はどうしましょう?
同一労働同一賃金によれば、パート・有期雇用の社員にも
賞与を支払うことになります。そろそろ皆さんの会社でも
検討が始まっているところだと思います。
それでは、具体的にどうすればよいのか?というのは
とても悩ましい問題です。正社員と同率で支払いができれば、
素晴らしいことですが、それが実際に実施できる会社は
それほど多くないと思います。
では、どの程度の賞与が適切だと評価されるのでしょうか。

ガイドラインでは何も分からない
厚労省のガイドラインを見ても、具体的に適切な割合は分かりません。
参考になるのは、過去の裁判例です。
平成31年2月15日に大阪高裁(大阪医科薬科大学事件)、
同年2月20日に東京高裁の大阪、東京で2つの判決が出ています。
大阪医科薬科大学では、正規職員を100%とすると、
これまで契約職員には80%を支払ってきたという運営で、
パート・アルバイト職員には60%以下ならば、
不合理であると判断しました。一方で、東京高裁の判決は、
月給が正社員の70%程度もらっているパート・アルバイト職員には
20%でも不合理とまでは言えないと判断しています。
しかし、これらの判決はいずれもケースバイケースである
といっているにすぎません。

大切なのは納得のいく説明
大切なのは、パート・アルバイト社員の賞与を正社員の
何%にするかではなく、どのような基準で賞与を決定したかを
合理的に説明できるかどうかです。極論をいえば、
大切なのは、金額の合理性ではなく、説明の合理性なのです。
パート・アルバイト社員と正社員との間の働き方の違いを
きちんと給与や賞与に落とし込むことで、説明が合理的になります。
そして、この説明を明確に社員に示すことによって、
正社員の働き方、パート・アルバイトの働き方を再認識してもらうという
副次的な効果も生じます。
自己の会社や社会への貢献を適切に評価してもらっていることは、
社員の満足に影響を与えます。
働く誰もが納得のいく給与体系こそ求められているのだと思います。

(学会 法務部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

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