書籍「日本のいい会社」【No83坂本研究室 2016年度 出版プロジェクト】

今回は2016年度に坂本光司先生と研究室に所属する全員で取り組んだ出版プロジェクトについてご紹介させていただきます。
坂本研究室では有難いことに毎年出版プロジェクトがありました。全員で取り組む企画を議論します。さらに追加として有志で出版させていただく本もありました。
本書はミネルヴァ書房さんのシリーズ【ニッポン再発見】の中の1冊として出版されました。

<このプロジェクトの概要>
このプロジェクトは当初のテーマ「地域を支える優しい企業」として始動しました。地域の障がい者や高齢者、社会的弱者を支えるための事業を行う企業や過疎地域にあえて留まり経営を続ける企業を紹介する、そんな主旨です。

<進め方>
① 候補企業の抽出 100社ほど
② 20~25社に絞り込み(業種や事業、地域から重ならないまたは世の中に知られていない等を考慮して選択)
③ ゼミ生3人でチームをつくり各チーム1社を取材
④ 3人で協力し執筆(5000文字程度)

<スケジュール>
6月 方針決定・チーム決定、取材先選定
7~10月 調査、情報収集、取材・執筆
11~2月 原稿提出、修正、再提出、校了
3月 記者会見・出版

<書籍の目次と掲載企業>
はじめに
1 稚内信用金庫(北海道) 地域の人たちと共に歩む
2 阿部長商店(宮城県気仙沼)雇用を守り地域を活性化させる
3 フタバタクシー(宮城県)地域の交通弱者を移送する
4 アポロガス(福島県)地域に元気を供給しつづける
5 柏屋(福島県)地域からまんじゅう文化を発信
6 おづつみ園(埼玉県)地域の人たちのくつろぎの場
7 福島屋(東京都)地域密着型をつらぬく
8 柿の実幼稚園(神奈川県)地域の子育てを応援
9 マエカワケアサービス(神奈川県)地域を明るく優しい社会に
10 菓匠Shimizu(長野県)地域の未来を創造する
11 モルティー(静岡県)お年寄りのための移動理・美容室
12 ミチナル(岐阜県)地域資源の活用
13 たんぽぽ介護センター(愛知県)地域の高齢者の「オアシス」に
14 ビレッジ開発(愛知県)不動産業を生かしてまちづくり
15 びわこホーム(滋賀県)徹底した地元密着主義
16 りょうき歯科クリニック(大阪府)地域からトップを目指す
17 移動スーパー とくし丸(徳島県)究極のセレクトショップ
18 四国部品(徳島県)地域の雇用を守る
19 アサノ設備(愛媛県)地域に信頼され、必要とされる
20 ヨシダ(福岡県)地元のよさを次世代へつなげる
取材を終えて
編集後記

<まとめ>
今回、個人的に執筆させていただいた企業は、徳島県にある四国部品株式会社でした。大手自動車部品メーカーのグループ会社でありながら地域のために真剣な取り組みをしていました。リーマンショックのために部品製造の縮小や海外移転を経験し、雇用を守るために介護事業へ参入、また地域産業を興すためにさまざまな取り組みを試行錯誤されているところでした。現地で伺うお話は、どれも新鮮で説得力がありました。本社からは真っ先に閉鎖指示を受けやすい四国にありながら、同社の片山社長は一度進出した地域で雇用を守り続ける強い意志を示し、その決意を直接肌で感じることができました。

何気ない会話の際、同社の締め支払いの話になり、“20日締め当月29日支払い”ということを伺いました。社員の給与だけではなく仕入先に対してもです。かつてこのような支払いサイクルを聞いたことはありませんでした。社員だけではなく取引先やその社員へ想いを寄せたものでした。
私が以前在籍した企業では、私自身が印刷系の仕入先に対しては、印刷業界の手形支払いの習慣を知っていたことから(手形よりは短い)月末締め翌々月末現金支払いを提案し快諾いただいたことを思い出し、同社の姿勢を伺った時、もっとすべきことがあったのだと再認識しました。
また、執筆のための視察は現場での集中力だけでなく、自分自身の経験や未熟さと向き合う貴重な時間になります。学び続けることの大切さを今も感じています。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

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