四国管財【No92いい会社視察2012/9/2】(再掲)

今回は2012年9月に坂本ゼミの夏合宿としてご訪問した『四国管財株式会社』さんをご紹介致します。

中澤清一社長(当時)は視察に伺うことが決まった時、逆に中澤社長からゼミ生に対して事前に質問依頼がありました。約70の質問が集まり、当日は回答として12000文字以上の丁寧な文章を準備いただきました。この文書は読めば読むほど中澤社長の自然体の姿が伝わってきます。(ちなみにこの投稿は約2000文字です)

●概要(現在のホームページから) http://www.shikokukanzai.co.jp
会社名 四国管財株式会社
設立 1962年6月27日
資本金 1,000万円
所在地 高知県高知市南はりまや町2丁目4番15号
従業員数 640名(パートタイマ―含む)※2019年3月31日現在
役員
お客様係&取締役会長 中澤 清一(視察時はお客様係&代表取締役社長)
お客様係&代表取締役社長 森下 幸雄(視察時はお客様係&常務取締役)
お客様係&代表取締役副社長 竹村 勝則
主な事業
ビルメンテナンス
病院サポート
その他関連業務

●四国管財の存在理由は“夢の実現の手段”
同社のユニークな点は何と言っても会社の位置づけを“夢の実現の手段”としているところではないでしょうか。
同社の理念に明確に謳っています。
“私達は、自分達の夢の実現の手段として四国管財においてお客様に「笑顔と挨拶と報連相と環境を意識した丁寧な仕事の実践」により自分を含め全ての人々に感動を提供致します。”

毎年1月には全員に夢記入シートを配布し、夢の記入や公私に渡る目標や結果など記入しています。社員全員の夢の実現が同社の目指すところです。
採用は天職コースまたは夢実現コースがあります。夢実現コースは“歌手になりたい”、“先生になりたい”など四国管財を辞める前提の採用になります。
中澤社長は、最近の若い人は夢を持っていないことを憂いています。今の学校の先生や校長先生も夢をもっていないと言い、四国管財が夢を求める会社になったのです。

●こだわりの採用方針
同社は社員全員で採用活動(仲間探し)をしていると言ってもよいのではないかと思います。
土足禁止の事務所に面談にくる候補者は、靴の脱ぎ方やかかとの状態などさりげなく確認をされているのです。中には、事務所に入る前に隣の公園にたばこを投げ捨てたことを清掃中の社員が気づいて報告がくることもあるそうです。
“価値観の異なる人が入社しては困る”という意識が全社員に強く、妥協しない皆さんの意識は理念が浸透している表れです。
面談では限られた時間の中で会話を深めながら密接な関係を作ったうえで、家庭環境などプライバシーにかかわることを聞き出しています。
また“オール5のような人は受け答えをきれいに取り繕っていて当社にくることはない”、と考えています。万一よい人だったとしても当社に縁がなくチャンスを逃したと諦めるのだそうです。
基本的に清掃業務の経験者は、以前の会社でのやり方が邪魔をしてしまうことから採用しません。例外として他社で冷遇されたり辛い経験があるような場合は採用しています。
試用期間中に合わないと判断した場合は断ることもあると言い、とにかく妥協はしないため常に人手不足だということでした。

●認証マーク独自取得の力
ISO14001、プライバシーマークは外部のコンサルティングを頼らず自力で取得しています。
ISO14001は国内同業で14社目、西日本2番目四国初です。社内では専任組織を作らず社員が兼務で推進しています。
一般的にはこの手の関連書類は山のように作成されます。私自身もプライバシーマークの新規取得を担当した時には外部の力なくしては成果を上げることはできませんでした。四国管財ではそもそも規定内容を熟知することからはじまり、ルール作りや書類管理も驚くほど少なく簡潔明瞭に運用されているのです。形式的な取得ではなく現実的かつ実践的な運用であることがよくわかります。
その後の取得したISO27001では通常数百項目ありますが同社は15項目、かかった費用は通常数千万円のところ300万円だったとのことです。

●経営におけるターニングポイント
中澤社長は、“13年前にアントレ―プレナーセンターの代表の福島正伸氏との出会いで仕事中でも夢を語って良いのだと気付いた時に私の行動は変わりました”と仰いました。
また業界団体の取り組みでお客様にアンケートをとったとき、お客様の一番してほしいことは値下げや技術的なことではなく、“挨拶をしてほしい、笑顔で仕事してほしい”ということだったと言います。
この契機をへて、同社における社員さんと事業の在り方が明確になったのだと思いました。

●最後に
中澤社長は小学校中学校と国立の進学校に通いました。しかし中学生になって勉強についていけず、英語の授業などは、“進行の妨げになるので先生に存在を無視されていた”そうです。成績が伸びないために高校は“不良が集まるような高校”に入学されました。
しかし中学・高校ともに恩師となる先生に出会います。いまも毎年お正月にはご挨拶に伺っているそうです。
中澤社長は、“記憶力は良く学生時代のことは殆ど明確に覚えている”というお話には驚きました。中澤社長だけではありませんが、学校の一元的な成績評価という物差しでは測れずに生きづらい人にも、勇気を与える存在なのだと感じました。
社会と向き合い、自分と向き合いながら、人に真似できない感性で人生を切り開いたのだと感じました。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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