いい会社を増やすには?~長期視点で考える~

いい会社を増やすためには、「人を大切にする経営」を知るいい人財を育成することがとても大切であり、そのためには長期視点で教育していくことが必要だと、最近、強く感じるようになりました。

私には、小学校4年生の一人息子がいます。ものづくりが大好きで、よく家の物置に忘れられている廃材やネジ釘などを使って自分で様々な工作をしています。そんな彼の好奇心を育てたいとの思いから、私がいい会社を視察する際には可能な限り息子を同伴しています。どの会社でも温かく迎えて下さり、我が子が特に興味津々で工場見学をさせて頂いた2社の社長様からは、「将来うちで働く?待ってるよ。」とまで言って頂き、息子はますますものづくりが好きになりました。今、最も欲しい工具は「はんだごて」と言っています。

息子と同年代の子を持つお母さまたちには「危ないから、家でこどもに工具を自由に使わせるなんてとてもできない。」「こどもには将来はオフィスワークをして欲しいし、学校の社会科で工場見学に行く必要性がよくわらない。」といった声もあるようですが、そういった視点が我が家に全くないのは、母親の私自身が、幼い頃に家業が配管工事などの施工をする工場を経営していたので、毎日のように工場に出入りして配管溶接の現場を観察したり、廃材置き場で遊びまわっていたりした経験があるからだと思います。現場の大人たちにはかわいがっていただきました。

こどもの頃にどんな経験をするか、特にいい大人と会う機会をどれだけたくさん得られるかはとても大切だと感じます。そのため、行動範囲が限られる義務教育の期間には、大人による支援はとても重要だと考えています。私自身は、学校での学びは基本であり大切なものと考えます。他方、学校では学べないことも沢山あり、こども一人一人の個性や興味が異なるので学校では対応しきれない学びの機会は可能な限り親が補完したいと考えています。

息子によりよい学びの機会を提供するために、最近はいい会社に加えていい学校、いい教育についてもアンテナを立てて情報収集をしています。つい先日、すごい教育をしている公立中学校(世田谷区立桜丘中学校)のことを知りました。以下、少しご紹介します。

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校則も定期テストもない 桜丘中学校のインクルーシブ教育が「大人たち」にもたらしたもの(Forbes Japan:2020/1/15)より一部抜粋

職員室前の廊下には机が置かれ、教室に入りづらい子がここで勉強することもある。教室でフリーWi-Fiに接続できるようになっており、スマホもiPadも使用していい。服装も髪型も自由。定期テストも宿題もない。校則もなくした。授業中に寝る自由も、授業がつまらないと言う自由も確保されている(それは先生の授業がつまらないから)。

子どもたちがやりたいことをできる限りサポートし、やりたくないことにははなぜかと丁寧に耳を傾ける。頭ごなしに決めつけて従わせるのではなく、子どもたちが自ら考え、動くことを応援する。

すべては「すべての子どもたちが3年間楽しく過ごすためにどうすればいいか」を、校長や教員が真剣に考えた結果であるという。

「桜丘中では、『この学年』や『このクラス』ではなく、あの子はこうだね、この子はこうだねと個人の話をします。その子を観察し、意見を聞いて、その子が楽しく過ごせるにはどうすればいいかを考えて学校を見直してきました。これは教育理論先行ではなく、自然科学の方法です。自然を観察してその法則を見つけるということを教育に持ち込んでいます」(世田谷区立桜ケ丘中学校校長 西郷孝彦氏)

最初はとまどっていた教員も、その理念を理解し、少しずつ変化していった。すると、子どもたちが変わっていく。ひとたび、いい循環が生まれれば、あとはどんどん改善されていく。それぞれの生徒が居心地のいい空間を見つけ、不登校の生徒は減り、多様であることがよしとされる場では、いじめは自然となくなった。

学ぶ意欲が高まり、「自分で考える力」を身につけることができるため、桜丘中学校の学力は、世田谷区でもトップクラスとなった。いま注目されている非認知能力も高いという結果が出た。

「既存の社会にうまくハマるための人材ではなく、新しい社会を創っていける人間を育てることが教育です。多様性を認めて、それぞれの力を生かして協力し合うことは、これからの日本の社会や企業を組み替えるための大切な取り組みですね。」(教育評論家/法政大学名誉教授 尾木直樹氏)

西郷校長は、自著「校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール」のなかで、「『自分たちで社会は変えられる』ということに気づいてほしかったからです」「子どもたちは、みんな自分たちで『変える力』を持っている」と繰り返し記している。

「それぞれの人がいまいる場所や学校で、少しでも変えていくことができれば、社会全体が大きく動き出すのではないかと思います。」(桜ケ丘中学校保護者有志 橋本陽子氏)

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いい会社を増やすためのヒントや共通点がたくさんあると感じました。いい「会社」もいい「学校」も、大人もこどももいい社会をつくるという目的に向かって、ともに学んで行ける環境をつくって行きたいと思います。

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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