伝統業界でも有効供給を作ることができる

坂本先生は「有効供給」という言葉を提唱していらっしゃいます。市場にとって、いかに有効な、価値のある財やサービスが供給できるかどうかで、その会社の命運が決まるというものです。どんな業界にあっても、有効供給を提供できれば、会社は継続していくことができるということです。

古くから続くせんべい業界で、有効供給を生み出しているのが、埼玉県草加市の山香煎餅本舗様です。

煎餅の消費量(家計調査年報)はそれほど落ち込んではいないものの、40代より若い世代の消費量が少ないことや、ナショナルブランドの大手メーカーによる寡占化が進んでおり、中小規模のメーカーの生き残りは必至です。

そんななか、山香煎餅本舗様は、若い人が好むスナック菓子のようなサクッとした食感の「おこげ煎餅」を開発したり、ナショナルブランド製品にはない1枚1,000円の高級煎餅を作ったり、「せんべいの庭」という、煎餅焼きが体験できる工房を作り、子供たちにも気軽に足を運んでもらい煎餅に親しんでもらうことをしています。

最近はインバウンド対応のため銀座店を出店するなど、煎餅メーカーという古い業界のなかで、「有効供給を作る」活動を行い、新しい価値を生み出しています。

体験工房&店舗の「せんべいの庭」では法被(はっぴ)を着て、煎餅職人になったつもりで、煎餅の手焼き体験ができます。30人以上が同時に焼けるので、学校の体験授業や、外国人旅行者など多くのお客様が訪問しているようです。

また、おせんべいを砕いて乗せたソフトクリームや、おせんべいの味付けに使う出汁醤油を使ったうどんが味わえるなど、おせんべいを軸にした”コト消費”が一緒に楽しめる店舗になっています。

「有効供給を考える」という視点でみると、これまでとは違う視点で、新しいことができそうな気がします。

 受動的ではなく、能動的に動くことで突破口は見つかるのではないでしょうか?

人を大切にする経営学会人財塾生 有村 知里

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