家族を大切にする

人を大切にする経営学では、社員とその家族、社外社員とその家族、というように、大切にする対象者に、その家族を加えています。

 坂本光司先生は、会社は、社会の公器であり、会社に関わる全ての人を幸せにすることが使命であるといつもおっしゃっています。

 そのため、会社が大切にするのは、社員や取引関係の社外社員だけではなく、その家族も含まれています。そして、家族を大切にする、という意味で一番大切なのは、経済的な安心感と社員や社外社員のゆとり、ではないかと思うのです。

 まず、経済的に安定しなければ、家族は安心して生活をしていくことができません。日本の給与体系は、敗戦直後は「生活給」といい、家族全員が最低限の生活ができるようにということで給与体系が出来ていました。当然に、家族が多い家庭には給与が多少でも多くなるように配分されていました。その「生活給」という考え方が、後に「年功序列」の給与体系になっていったと言われています。今は、働き方も多様化していますので、ジョブ型のような給与体系もあっていいと思いますが、それでも家族が安心して生活できる経済的基盤を提供していくことが会社の重要な役割だと思います。そしてこのことを社外社員との関係で言えば、適切な代金を設定し、適切な時期に支払いをするということになろうかと思います。社外社員の家族を直接大切にするということは難しいですが、このように取引会社と適切な関係をもつことによって、間接的に社外社員の家族を大切にすることができます。

 次に大切なのは時間です。人を大切にする学会では、所定労働時間外の労働は、1ヶ月10時間以内としています。社員が家族と過ごす時間を作ることも会社の役割です。私が子どもの頃は、父親が入学式や卒業式に参列するようなことはありませんでした。しかし、今は両親が入学式、卒業式ばかりか各行事にも参加しています。テレワークが定着したのか、最近は父親と子どものカップルが買い物に来るようなシーンをよく見かけるようになりました。時代は随分変わったのだと思う日々です。コロナ禍で、子どもが登校出来ない日々もありましたが、家族との時間を十分にとることができれば、それも子どもにとっては、豊かな大切な時間になります。ですから、会社は出来るだけ時間に拘束を設けることなく、ある程度自由な働き方ができることが求められています。もちろん、製造業等のように、どうしても個人の時間を自由に出来ない職種もあります。しかし、事前の申請や工夫をすることによって、多様な働き方、時間の使い方をルール化できるのではないかと思っています。有休も本来はきちんと1日休むことを法制度的には求めていますが、現在の法律でも5日間であれば時間休をとることができるようになっていますので、会社としては柔軟に対応できるように整備が必要かと思います。また取引企業との間においても、時間的に無理な発注をせず、できるだけゆとりがある発注をすることが大切だと思います。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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