高校教育に必要なこと

ご承知のとおり、4月1日から、18歳から成年=大人となります。民法第4条の改正です。これまでどおり、未成年者の法律行為には、その法定代理人の同意が必要となっており、同意を得ない未成年者の法律行為は取り消すことができます(民法第5条)。いわば、未成年者保護の規定です。この18歳から、この規定の適用は受けなくなります。諸外国では、18歳を成年とする例は多く、やっと国際社会並みになったのだから、いいじゃないか、と思いがちです。

 しかし、4月1日をもって、約200万人以上の18歳、19歳の若者が、未成年者保護の規定から除外されます。特に気になっているのが、つけ込み型勧誘です。つけ込み型勧誘とは、「消費者が合理的な判断をすることができない事情(脆弱性)を有しており、その事情を事業者が不当に利用して消費者を勧誘し契約を締結させることを言います。このような勧誘は、若年者だけでなく、判断能力が弱くなった高齢者でも問題となっています。もっとも、高齢者には、成年後見人、保佐、補助などの支援体制がありますが、成年にはありません。

 高校を卒業したばかりの若者が、突然、世間の荒波の中に放り込まれます。もとより高卒で就職をする若者もいます。これまでもそのような若者は荒波に放り込まれたようなものでしたが、それでもなお20歳までは保護対象となっていました。

 今回、社会的に心配をされているのは、多くの若者は、消費者教育を高校時代に学んでいないことです。この点は諸外国と比較してもかなり劣っているのではないかと思います。一般論ですが、高校の教師に、消費者教育ができるかというとかなり難しいのではないかと思います。

 中小企業は、昔から高卒の新卒者を採用してきました。社内教育の中で、必然的に消費者教育もなされてきました。つまり社会一般のルールを学ぶという機会です。私は是非地域の中小企業経営者や若手指導の経験者に高校でのカリキュラムをもってもらい、消費者教育及び社会教育一般を学ぶ機会を高校生の内に提供してほしいと思っています。このような企業の地域貢献もあっていいのではないでしょうか。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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