LGBTと企業活動

2022年6月8日、日本弁護士連合会において「企業活動とLGBT」との表題でシンポジウムが開催されました。

 企業活動とLGBTに関しては、たとえばスターバックスコーヒージャパン株式会社が、2017年1月から導入した同性パートナーシップ制度などが有名ですが、このシンポジウムでは、LGBTの権利は、「ビジネスと人権に関する指導原則」に関連して、自社の事業活動のみならず、取引先を含めた全ての活動が企業の責任の対象にあたること、その責任を果たすことが「選ばれる企業」の指標になるとのコメントが大学教授らによって発表されました。

 LGBTに関しては、昨今、裁判でも判断されるようになってきています。

たとえば、2020年7月20日に大阪地裁で出された判決は、戸籍上の性は男性であるが、性自認は女性の方で、性同一性障害であることを某タクシー会社に伝えて就職したものの、上司から化粧をしたことを理由として乗務から外されました。

上司からは、「身だしなみで化粧はないやん。男性やねんから」「だいぶ濃いわ」「(性同一性障害は)治らんのでしょ。病気やねんから。うちでは乗せられへん」などといって、乗務から外されました。

これに対して判決は、「外見を女性に近づけ、女性として社会生活を送ることを自然かつ当然の欲求」であり、「個性や価値観を過度に押しとおすものと評価すべきではなく、女性乗務員と同等に化粧を認める必要がある」と判示しました。

また「客離れが起きる」との会社の主張に対して「乗客の多くが不寛容とはいえない」と会社の主張を排斥しました。この裁判で認定されたかどうかはわかりませんが、上司の発言は、それ自体、セクシャルハラスメントに該当する可能性も高いです。

 SDGsの関係で、フェアトレード(開発途上国の生産地で人々や環境に配慮した方法で作られた原料や製品を、適正な価格で継続的に購入し、立場の弱い開発途上国の生産者・労働者の生活改善と自立を目指すこと)は随分企業界に浸透してきたと思います。

 これらとともにLGBTの取り組みも積極的に取り組むことが大切だと思います。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です