企業法務としてのかかわり方

2月26日の日経電子版に「企業法務の新時代 トップ弁護士ら「脱コスト部門」語る」という記事が出ていました。

その中に、企業の法務部門のあり方について、インタビューに応じた弁護士は、法務トップの『ゼネラルカウンセル』という役職は日本企業にはまだ少ないとしつつ、その役割について「企業を単に法令だけでなく、様々なステークホルダーの期待に応えるよう正しい方向に導くこと」と説明したとされます。続けて、同弁護士は、「(事業部門からの)相談に『ダメだ』というのは簡単だが、代替案をどれだけ提案できるかが法務の腕の見せどころ」と発言をしています。

 私もかかわる企業法務の分野では、弁護士に相談をしても、「それは違法でダメ」というだけで、その後の解決策を何ら提案してくれない、これでは相談をしても無意味だ!という発言を経営者の方からお聞きすることがあります。弁護士の中には、違法なものはリスクマネジメント上避けた方がいいし、中途半端なアドバイスをして責任を取らされるのが嫌だというスタンスで仕事をしている方がいらっしゃるのも事実です。しかし、私はそれではプロフェッショナルではないと思います。経営者の皆さんは、日々決断を迫られ、その決断の責任を全て負わなければなりません。同じく企業法務にかかわる弁護士は、ある程度のリスクを踏まえつつ、最適解を見つけるべく様々な可能性を提案できるようでなければならないと思っています。弁護士のスキルは、単に法律を解釈適用するだけではなく、問題解決をどのようにするかについても学んできているはずです。Win-Winとなるような提案ができるのが、弁護士に限らず経営者に伴走するプロフェッショナルの責任ではないかと考えるのです。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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