エンパワーメントに必要なコミュニケーション

自ら考え、行動する社員がいれば、組織は発展・成長するといわれています。そのため、「エンパワーメント」が必要といわれます。エンパワーメントとは、ご承知のとおり、従業員一人ひとりの可能性や潜在能力を信頼して、引き伸ばすこと、つまり、ある程度の権限を委譲し、社員が自ら考え行動することを促ことと言われています。

 権限の委譲とは、契約的には、ある業務を委託し、それを受託することを意味します。

社内なので、社会的な「業務委託」という関係とはなりませんが、考え方は同じです。

通常、業務を委託する場合、その委託する内容を特定します。委託内容、代金、納期を明確にして、業務委託契約を締結します。

 しかし、権限の委譲となると、そこが曖昧になってしまう傾向があります。権限を委譲する際は、何を、どのレベルで(業務内容)、予算はどの程度かけられるのか(代金)、いつまでにしなければならないか(納期)を明確にする必要があります。

 これは委譲をする「上司」だけでなく。委譲を受ける「部下」にとっても大切なことです。しかし意外とその点が曖昧になってしまっていることがあります。

 「上司」とすれば、この程度は当然わかっているはずという思いがありますし、「部下」としては任されたのだから、自分の思いどおりにやろうと思ってしまったりします。

 全てのことの判断を上司に確認し、できるだけ責任を負わないようにする社員や、全く相談もなしに、報連相もなく、全てを勝手にやってしまい権限を逸脱してしまう社員がいたりします。

 業務委託契約で、委託内容に疑問が生じた場合は、委託先に確認をするように、権限の委譲を受けた場合も、疑問は必ず上司に確認をすることが重要です。

一方で、上司の方は、部下が判断を上司に頼ろうとすると時は、「自分はどう判断するのか?」とあくまで部下に判断を任せることが必要となります。

 このようにして、社員が自ら考え、行動することを促していくことになります。

 社内のコミュニケーションは、どんな場合にも一番重要なことです。

  (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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