顧客にとっての「推し」になる
2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされたこともあり、
近年、よく聞かれるようになった「押し活」という言葉がある。
押し活とは、簡単にいえば、自分が推しているアイドルや俳優、
キャラクターなどを応援したりする活動のことをいう。
推しを見つけたファンは、推しが出ているライブのために、
全国各地に出向いたり、同じグッズを複数買ったり、
オリジナルの応援グッズを作るなど、
推しのためにすべての時間とエネルギーを注ぎ込んでいる。
これを、アイドルや俳優、キャラクターなど、
ある特定の対象だから起こりうる現象で、
企業と顧客との間に、こういった関係は生まれないと
考えるのは少し早計な判断だ。
企業も顧客に、
この企業は、私の推しだから、この企業をどんな形でも応援し続けよう
という気持ちを持ってもらう関係づくりをしていくべきだ。
ただ、多くの企業では、ファンづくりはできているものの、
リピーター・推しにまではなかなかなってもらえていない
という企業も多いだろう。
せっかく関係を築きあげて、ファンになってくれた顧客が
リピーター・推しになっていないとすると、
それは次のようなことが原因となっていると考えられる。
2.プロダクトアウトの思いが強すぎて、市場ニーズを満たしていない
3.№1の商品・サービスかもしれないが、only1の商品・サービスではない
経営者として、
これからの景気・流行がどうなるかを「読む」ことは必要だが、
それだけを追っていては、
一時的なファンを開拓することはできるかもしれないが、
他の企業も同様にブーム・流行に乗ろうとしている競争環境の中で、
常に勝ち残っていくのは至難の業といえる。
さらに、景気や流行は、その波は違えども、必ず廃れていくものであり、
それを追った経営をしていては、
いつまでたっても安定した経営をすることは不可能だ。
また、プロダクトアウトの思いが強すぎて、
市場ニーズを満たしていないというのは、
日本が高度経済成長の右肩上がりの時代の時には、
良いものをつくれば必ず売れる。
この商品・サービスに気づかない方がおかしい。
というプロダクトアウト寄りの話が成立していた時代もあったのも事実だが、
現在は物的に満たされ、作れば売れる時代ではなくなり、
競合と簡単に比較され取捨選択されてしまう。
そのため、プロダクトアウトの発想ではなく、
いかにマーケットインの発想で、顧客のニーズに応えられるかどうかが、
やはり重要となる。
さらに、№1の商品・サービスかもしれないが、
only1の商品・サービスではないは、
ニーズを追わず、ブーム・流行を追わないにも通ずることだが、
№1は瞬間的なものであって、常に次の№1が生まれてくる。
毎週のように、書籍売上ランキングや映画興行収入ランキングなどが
発表されていることからも、それが分かる。
確かに、瞬間的とはいえ、№1を取ることも大変なことであることは間違いない。
ただ、同じ1番を目指すのであれば、指名買いをしてもらえる、
その商品・サービスでしか得られない唯一無二の価値を
提供していかなければ、ファンをリピーターや推しにまでするのは難しいだろう。
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