職場における熱中症対策

まだ5月というのに30℃近い暑い日が続いております。今週末は少し落ち着くとのことですが、直ぐにまた暑い日に戻ることでしょう。

 令和7年6月1日より、労働安全衛生規則が変更され、職場における熱中症対策が強化されます。

 1つめが、事業者における体制作りと社員への周知です。

 熱中症が生ずるおそれのある作業を行う際に、熱中症の自覚症状がある作業者又は熱中症のおそれのある作業者を見付けた者がその報告をできる体制を作り、それを社員に周知する必要があります。

 2つめは、熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、①作業からの離脱、②身体の冷却、③必要に応じた医師の診察処置、④緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先等についての手順を定め、それを社員へ周知する必要があります。

 また「熱中症を生ずるおそれのある作業」についても定義がなされました。それによれば、「WBGT28℃又は気温31℃以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの」とされています。なお、WBGTとは、単位は気温と同じ摂氏(℃)ですが、気温、湿度、日射、気流の4要素を総合的に評価することができるための指数で、多くの事業場ではWBGT測定器が置かれていると思います。安い物では、数千円から高い物で数十万円の範囲で販売されていますが、この機会にWBGT計がない会社では是非この機会に購入をお勧めします。

 これらを怠った場合には、50万円以下の罰金が科せられます。そればかりか、これらの措置を怠ると、作業員が熱中症で生命・身体を害する場合に、企業に安全配慮義務違反として損害賠償義務が生じる可能性も高くなりました。

 すでにかなり暑い日が続いています。

 法改正前ではありますが、今の内に対策をとることをお勧めします。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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