No381記憶に残る言葉【四国管財株式会社;中澤清一社長(当時)のお話から】

今回は2012年9月に坂本ゼミの夏合宿としてご訪問した『四国管財株式会社』さんをご紹介致します。
2016年3月の第6回日本でいちばん大切にしたい会社大賞では審査委員会特別賞を受賞されています。
2019年には東京美装グループに加入しており、ご訪問当時と状況は変化しています。

 https://www.shikokukanzai.co.jp/

●概要(現在のホームページから)
会社名 四国管財株式会社
設立 1962年6月27日
資本金 1,000万円
所在地 高知県高知市南はりまや町2丁目4番15号
従業員数 590名(パートタイマ―含む)
取引銀行 四国銀行/木屋橋支店 高知信用金庫/本店営業部
役員
株主 東京美装ホールディングス株式会社
お客様係&代表取締役 社長 森下 幸雄
お客様係&代表取締役 副社長 本田 和之
お客様係&常務取締役 高橋 靖尚

●四国管財の存在理由は“夢の実現の手段”
同社のユニークな点は何と言っても会社の位置づけを“夢の実現の手段”としているところではないでしょうか。
同社の理念に明確に謳っています。
“私達は、自分達の夢の実現の手段として四国管財においてお客様に「笑顔と挨拶と報連相と環境を意識した丁寧な仕事の実践」により自分を含め全ての人々に感動を提供致します。”

毎年1月には全員に夢記入シートを配布し、夢の記入や公私に渡る目標や結果など記入しています。社員全員の夢の実現が同社の目指すところです。
採用は天職コースまたは夢実現コースがあります。夢実現コースは“歌手になりたい”“先生になりたい”など四国管財を辞める前提の採用になります。
中澤社長は、最近の若い人は夢を持っていないことを憂いています。今の学校の先生や校長先生も夢をもっていないと言い、四国管財が夢を求める会社になったのです。

●こだわりの採用方針
同社は社員全員で採用活動(仲間探し)をしていると言ってもよいのではないかと思います。
土足禁止の事務所に面談にくる候補者は、靴の脱ぎ方やかかとの状態などさりげなく確認をされているのです。中には、事務所に入る前に隣の公園にたばこを投げ捨てたことを清掃中の社員が気づいて報告がくることもあるそうです。
“価値観の異なる人が入社しては困る”という意識が全社員に強く、妥協しない皆さんの意識は理念が浸透している表れです。
面談では限られた時間の中で会話を深めながら密接な関係を作ったうえで、家庭環境などプライバシーにかかわることを聞き出しています。
また“オール5のような人は受け答えをきれいに取り繕っていて当社にくることはない”、と考えています。万一よい人だったとしても当社に縁がなくチャンスを逃したと諦めるのだそうです。
基本的に清掃業務の経験者は、以前の会社でのやり方が邪魔をしてしまうことから採用しません。例外として他社で冷遇されたり辛い経験があるような場合は採用しています。
試用期間中に合わないと判断した場合は断ることもあると言い、とにかく妥協はしないため常に人手不足だということでした。

●認証マーク独自取得の力
ISO14001、プライバシーマークは外部のコンサルティングを頼らず自力で取得しています。
ISO14001は国内同業で14社目、西日本2番目、四国初です。社内では専任組織を作らず社員が兼務で推進しています。
一般的にはこの手の関連書類は山のように作成されます。私自身もプライバシーマークの新規取得を担当した時には外部の力なくしては成果を上げることはできませんでした。四国管財ではそもそも規定内容を熟知することからはじまり、ルール作りや書類管理も驚くほど少なく簡潔明瞭に運用されているのです。形式的な取得ではなく現実的かつ実践的な運用であることがよくわかります。
その後に取得したISO27001では通常数百項目ありますが、同社は15項目、かかった費用は通常数千万円のところ300万円だったとのことです。

●経営におけるターニングポイント
中澤社長は“13年前にアントレ―プレナーセンターの代表の福島正伸氏との出会いで仕事中でも夢を語って良いのだと気付いた時に私の行動は変わりました”と仰いました。
また業界団体の取り組みでお客様にアンケートをとったとき、お客様の一番してほしいことは値下げや技術的なことではなく、“挨拶をしてほしい、笑顔で仕事してほしい”ということだったと言います。
この契機をへて、同社における社員さんと事業の在り方が明確になったのだと思いました。

●最後に
中澤社長は小学校中学校と国立の進学校に通いました。しかし中学生になって勉強についていけず、英語の授業などは“進行の妨げになるので先生に存在を無視されていた”そうです。成績が伸びないために高校は“不良が集まるような高校”に入学されました。
しかし中学・高校ともに恩師となる先生に出会います。いまも毎年お正月にはご挨拶に伺っているそうです。
中澤社長は“記憶力は良く学生時代のことは殆ど明確に覚えている”というお話には驚きました。中澤社長だけではありませんが、学校の画一的で一元的な成績評価という物差しでは測れずに生きづらい人にも、勇気を与える存在なのだと感じました。
社会と向き合い、自分と向き合いながら、人に真似できない感性で人生を切り開いたのだと感じました。

***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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