今は「石の上にも5年」
令和6年10月25日の厚労省発表によると、令和3年3月に卒業し、就職した者の内、3年以内離職率は、新規高卒就職者の38.4%、新規大卒就職者の34.9%だといわれています。なお事業所の人数が30~99人の場合は、高卒離職率45.3%、大卒離職率42.5%、社員の数がそれ以下の事業所ですと更に離職率が高くなります。
これに対して、人を大切にする会社では、過去5年間の平均の転職的離職率は2%以下が基準である(「会社の「偏差値」」36頁、あさ出版)。以下に離職率が低く設定されているかが分かります。
ところで辞めていく人にも課題があると思います。
「石の上にも三年」と言われます。「我慢強く耐え忍べば、必ず成功する。」という意味で使われることわざです。以前は、「『石の上にも三年』というくらいだから、3年くらいは今の職場で頑張ってみたら」という言葉を耳にすることがありました。
ところで1万時間の法則というのがあります。これはマルコム・グラッドウェルが「Outliers」で主張した法則であり、どんな分野でも1万時間スキルを磨けば一流になれるとの考え方です。
1970年(昭和45年)代、その頃は残業時間もあり、通勤時間も入れれば、労働時間が仮に10時間強とし、週休1日すると労働日数は310日程度として計算すると約3年で1万時間となります。(10.5×310×3=9,765)
当時であれば、3年懸命にその仕事に従事すれば、その分野では一流というのも一理あったと思います。先の「3年くらいは今の職場で頑張ってみたら」というのは、この1万時間の法則と整合します。
しかし今の時代は。1日8時間、残業はできるだけ少なくし、週休2日の勤務、年間労働時間が約250日となります。とすると1万時間勤務するには5年かかることになります。(8×250×5=10,000)
つまり今の時代、1万時間継続してその業務を行うには5年が必要になるということです。
さらにこの1万時間、漫然と目的もなく、言われたことだけをやっていても一流の人にはなれません。
アンダース・エリクソン(「超一流になるのは才能か努力か?」文藝春秋)は、「真剣に考え抜いた訓練」を少なくとも1万時間続けることが必要だと言っています。
AIやITにより様々な分野で効率化が図られていますが、「真剣に考え抜く訓練」はアナログであり、人間にしかできない努力です。
この努力がなければ、職業人としても1人前にはなれないということだと思います。とするならば、仕事に関して言えば、今の時代は「石の上にも5年」というべきではないでしょうか。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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