女性と子どもを大切にする会社
M3増田かおりです。
個人研究で「女性と子どもを大切にする会社」を取材しています。
きっかけは、昨年、坂本教授が
「人を大切にする経営をしている会社の社員は社内結婚数も高いし、
子どもの人数も多い。結果として、業績も高い。」とおっしゃったことを
深く確かめてみたいと思ったからです。
そこで、3月より、坂本先生より情報提供される会社含め、
日本でいちばん大切にしたい会社受賞会社・おもてなし企業選・
ハイサービス300選・がんばる中小企業など、2000社に
アンケートを実施させて頂きました。
そのアンケートの分析と同時進行で、アンケート結果を元に
個別訪問を行い始めました。
今回は、初回訪問をさせて頂きました「竹屋町森歯科クリニック」を紹介します。
竹屋町森歯科クリニックは、人口8.5万人の日本海に面する地方都市、
舞鶴で開業しています。
この舞鶴も例外ではなく高齢化が進み、西舞鶴駅の駅前から商店街にかけて人通りもまばらで閑散としていました。
その商店街のハズレに玄関に黄色いノボリがある歯科医院がありました。
歯ブラシなどの歯科雑貨を扱うショップも併設しています。
待合室には次々と、患者さんが入って来られますが、ほとんど待つことなく診察室に消えていきます。
歯科医院特有の待たされ感でうんざりしている様子は微塵もありません。
診察室には、診療台が12台。1日100人から120人の患者さんを診療しているそうです。
スタッフの皆さん、元気カラーのユニフォームで笑顔いっぱいです。
その様子だけでスタッフのモチベーションの高さがうかがえます。
ところで、
歯科衛生士の離職率の業界平均は、80%だそうです。
その理由は、歯科クリニックという狭いコミュニティの中で、院長のイライラへの不満や職場の人間関係で疲弊してしまい、せいぜい結婚するまでの数年だけ、と割り切って勤めている歯科衛生士が圧倒的に多いからだそうです。
いや、仕事を辞めたい、申し出ることすらはばかれる空気が職場に流れているため、 結婚が退職のうってつけの材料、と結婚を機にコトブキ離職するといいます。
しかしその業界中で、このクリニックの離職率は0%に近いという驚異的実績。
数年前、クリニックが床上浸水という危機があったとき、
診療が出来なくなって売上が上がらないという辛さより、この仲間と一緒に仕事ができないことの方が辛い、と気づいたそうです。
幸い、被害が最小限度で済み、診療を再開したとき、森院長は、この仲間を大切にしたい、と強く思われたそうです。
そこで、どうしたら働き続けてもらえるかアンケートを行いました。
「出産しても仕事を続けたい、でも不安・・」(森歯科クリニックのアンケートより)
・家族の協力が得られるかわからない
・家事との両立ができるか不安
・子どもをお風呂に入れたり夕御飯を一緒に食べる時間があるだろうか
・子どもに習い事をさせられるだろうか
・子どもが寂しいもいをしないだろうか
・預かってもらえる保育園がすぐに見つかるだろうか
その結果、子育てスタッフが働きやすい徹底した職場環境のために
①子どもの病気や参観日など、休みやすいように余剰人員を雇用。
②午後5時までに経営を成り立たせるようにする。
と決断したそうです。
歯科クリニックは、仕事帰りの夕方からがかきいれどきです。
しかし、それでは子育てスタッフが働き続けることができないません。
そこで、保育士を採用し、託児室を設置したところ、
子ども連れの母親が多く来るようになったそうです。
加えて、高齢者が歯科を受診したくても家族に気兼ねしてなかなか行かれない、という話を聞き、高齢者の送迎を始めたそうです。
こうした取り組みで、午後5時までの経営が成り立つようになったのです。
また、患者さんに接する以外のことを専念する人がいませんでしたが、余剰人員ができたことで、ニュースレターを発行したり、患者さんに喜ばれることを考えたりしているうちに、顧客満足が上がり、予防歯科など保険外診療が増えてくるようになったそうです。
まさに坂本教授がおっしゃる
「社員を大切にすることでモチベーションが上がりその社員がお客様に喜ばれるような仕事をする。」という現象を見せて頂きました。
歯科衛生士・看護師・介護士・保育士と女性を戦力としなければ
成り立たない業界では、人財不足が続いています。
この森歯科の取り組みはこの業界への先進例として、是非紹介したいと思います。
詳しくは「指示待ちスタッフが変わる仕組み」をご覧下さい。
惜しげもなく取り組みを紹介しています。森院長先生が執筆されています。
最後に・・
取材にご協力くださったこのクリニックの幹部である受付スタッフの國枝さん、
三人目のお子さんがお腹の中にいます。
仕事と育児の両立・・というより、全く自然体で仕事も育児も輝くステージを楽しんでいる姿が眩しかったです。
こんな職場が広がることを夢見て・・。
コメントを残す