札幌市の「日新堂印刷」印刷さん

1年前

私もバナナペーバー&点字名刺を発注している札幌市の「日新堂印刷」印刷さん。
5日火曜日に、NRI(野村総合研究所)のJBPRESSに同じ札幌市の私も使っている「富士メガネ」さんと共に取り上げられた。
3回目の最終回で富士メガネさんを取り上げる。

世界に「善の循環」を広げる日本企業

「感動経営」への道「エコ名刺」と「メガネ」が世界を救う
メガネ屋さんが難民を救う

筆者は今、この原稿を富士メガネの老眼鏡をかけて執筆している。

富士メガネは、1939年創業のメガネ屋であり、現在札幌市を中心に全国68店舗を展開している。都内にも、東京大手町ビル店と、武蔵境店の2店舗がある。

同社を有名にしたのが、その驚嘆すべき社会貢献活動である。

1939年(昭和14)年、樺太で富士メガネを創業した金井武雄氏(金井昭雄現会長兼社長の父)は、「モノが見えることで、人生を助けることもできる」と口癖のよう語っていた。

創業45周年目にあたる1983年、これまでにさまざまな方から受けたご恩をお返ししたいという強い思いから、世界各地の難民や国内避難民の方々にメガネを贈る活動、「海外難民視力支援ミッション」を始めた。

タイ・インドシナ難民支援の様子

難民キャンプを直接訪問し、一人ひとりの視力を検査する。あらかじめ日本から数千組の新品のメガネを現地に送っておき、その中から最適なメガネを寄贈する。

タイのインドシナ難民の支援から始まったこの活動は、ネパールのブータン難民、アルメニアのアゼルバイジャン系難民・国内避難民、そして現在はアゼルバイジャンの周辺国からの難民と国内避難民の支援へと移行してきている。

同社がこれまでに寄贈したメガネの数は、2015年5月現在、なんと、14万5487組に達している。

この活動を支えているのが、富士メガネ社員の自発的な協力だ。これまでに170名以上の社員が自らの有給休暇を利用し、ボランティア活動に参加している。もちろん、活動に必要な経費はすべて会社が負担している。

難民の中には、メガネがないために勉強に支障を来す子どもや、仕事に就けない大人がたくさんいる。

日本では考えられないような強度の近視や遠視が放置された状態であり、失明していると思われていた子どもが、実は強度の近視だったりする。

笑顔を見せる少年の後ろには用意されたたくさんのメガネが置かれている

生まれて初めて、くっきりと親の顔を見ることができて感動し、涙を流す子どもたちや、二度とはっきりモノを見ることができないだろうと諦めていた大人たちにハグされ、キスされる。

この感動的な体験は、参加した社員たちの自信と誇りとなり、「人づくり」に大いに貢献している。
「ボランティア活動は与えるためだけのものではない。それは必ず自分へ還り、心を豊かにする財産となる」と金井会長は言う。
顧客が応援団になる

近年、大量生産、薄利多売のメガネ屋が増えている。メガネが簡単に安く手に入ることにより、気分や洋服に合わせてメガネを着替える、というスタイルの創造に寄与したと言える。

その一方で、正しくフィッティングされていないメガネは、見た目のイメージを損なうだけでなく、目の疲れや作業効率の低下、場合によっては体調不良などを招く恐れがある。

特に、左右の目の使い方のバランスなどをチェックして一人ひとりの顧客に合わせて正しく補整するフィッティングには、高度な技術と豊富な経験が要求される。

富士メガネには、米国で学んだ「オプトメトリスト」3名に加え、公益社団法人日本眼鏡技術者協会の認定眼鏡士が279名在籍している(2015年2月現在)。

富士メガネでメガネを作ると、薄利多売のメガネ屋さんよりも当然、価格は高くなる。

しかし、スタッフの高度な専門性と豊かな人間性によって、価格以上の価値を提供することができれば、顧客をリピーター化することができる。

それに加えて、富士メガネでメガネを作ることは、間接的に難民の支援活動に貢献することになる。顧客が富士メガネの応援団となるのだ。筆者もその1人だ。

お金より大切なもの

「(消費者は)お金より大切なものに気づき、それにお金を使おうとしている」

「社会貢献する会社が繁栄する時代は正しい。時代は正しい方向に向かっている」

これは、『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)の著者、法政大学大学院坂本光司教授の言葉である。

従業員6名の札幌のちっぽけな印刷会社にだってできるのだから、誰も言い訳などできないはずだ。

社会に貢献したいという経営者や社員たちの熱い想いへの共感の波は、ネットワークを通じて全国へと拡散し、やがて大きな波となって自社に返ってくる。たくさんの応援団を引き連れて。

このような「善の循環」を作り出せた企業は、永続的な成長を約束されるだろう。

最後に「富士メガネ」さんは「日本でいちばん大切にしたい会社」2の最初に紹介されている。

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