静岡県富士市の「杉山フルーツ」さん

まもなく発売の商業界3月号
楽しみでもあり勉強になる。

昨年、お会いしているので親近感がある。
2008年に発売された法政大学大学院 坂本光司教授の「日本て゛いちばん大切にしたい会社」に掲載されている。

以下、商業界 笹井編集長のブログより

2017年01月28日(土) 18時12分59秒NEW !
テーマ:取材メモから

自らを「アーティスト」と名乗り、百貨店の展示販売を「ライブツアー」と表現する商人がいます。
静岡・富士市のフルーツギフト専門店「杉山フルーツ」の杉山清さん、その人です。

かつては宿場町として栄えたものの、いまでは空き店舗が目立つ商店街にあって、同店には常に多くのお客さまが県外からも詰めかけています。
関東や名古屋、遠くは北海道や九州からもお客さまがやって来るには理由があります。

店主のフルーツアーティストこと、杉山清さんが開発した高級フルーツを使った「生ゼリー」は、テレビや雑誌で取り上げられ、お客さまが長い行列をつくる人気商品。
しかし、地方発送やネット販売はなく、この店と全国の百貨店などでの出張販売「ライブツアー」でしか購入できません。
出店販売は年間30カ所、100日わたって行われています。

こうしたスイーツは流行り廃りが激しく、一時はブームとなって売れるものの、それが続く商品はまれです。
しかし、2005年に開発以来、生ゼリーは売れ続けています。
いまや各地にファンがいて、出張販売には行列ができ、その店頭に立つ杉山さんの姿にお客さまは熱狂します。
まさにライブツアーと呼ぶにふさわしいイベントとなっています。

見た目の美しさだけではありません。
フルーツの専門家の目で見極めた旬の手がけた果物を手づくりでカッティングし、研究を繰り返してたどりついた独特の触感のゼラチンを使用した味わいが人気の源泉です。

ラインアップは十数種類で、季節によって使われる果物や価格は異なります。
一番人気はミックスフルーツで、価格は300円台から1000円までとなっています。

濁りのない、向こうまで透けて見えるようなゼリーに色とりどりのフルーツ浮かぶこのデザートを杉山さんは「作品」と呼びます。
「商品には“魂”が入ります。食卓でのお客さまさまの笑顔をイメージしてつくらないとおいしくなりません。魂が入っているかいないかで、商品は全然違うんです。大手企業では数量をたくさんつくれと言いますが、それでは素材も良いものは使えないし、商品も良いものはできません」

大手スーパー、コンビニ各社から人気を当て込んだ製造依頼の話が舞い込みます。
しかし、杉山さんはそれに首を振り続けるのです。

多忙を極める現在も、出張販売に自ら赴く理由をこう語ります。
「私にとって商品は私の子どものようなもの。自分で生んだ子は、最後までしっかり見届けたい。だから私は、お客さまさまに『これは生き物ですから、車の中に入れっ放しにしないで、食事や買物の時も一緒に連れて行ってあげてください』と言います。果物もゼリーも車内に入れっ放しにしてしまうと、すぐに傷んでしまいますから」

製造小売りだからこうした特徴を出せる――こう考える読者がいるかもしれません。
しかし、それは一面で正しく、一面で誤った視点です。
店内には、1個1万円以上のメロンや1箱8000円のミカンなど、高級フルーツが並びます。
いずれも、杉山さんが厳選した品揃えです。
そして、それを妻の郁美さんがきれいにラッピングすることで、他にないオリジナリティをつくり出しているのです。

例えば、ギフト用の箱入りみかん。
ほとんどの店では仕入れた箱のまま販売しています。
しかし、同店では販売前に一度箱を開けて、みかんを一つひとつ検品してから販売します。
たとえ仕入れ商品でも、こうして手をかけるのです。
それは、あたかもみかん一つひとつに実印を捺して保証するかのようです。

「店頭へ来てお客を払う人もお客さまだし、そのお客さまからフルーツを贈られた人もお客さま。商品は一つで、お客さまは二人いらっしゃいます。そのお二人に対して誠心誠意ご満足の実現に努める。その先にしか、繁盛のありません」と杉山さんは言います。

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