タニサケ 再び
法政大大学院 坂本光司ゼミ 修士3年 根本幸治
1年ぶりに訪問させていただいた(株)タニサケはゴキブリキャップの製造・販売を業務としている。
本社のある岐阜県揖斐郡池田町は大垣駅から車で20分、関ケ原古戦場も近い。
玄関には「歓迎 坂本ゼミ 知野様・根本様」という文字が張り出されていた。
一歩社内に足を入れると、社員の皆さんが立ち上がって出迎えていただいた。
取材に応じていただいたのは、営業力で会社を大きくした松岡浩会長と後継者の清水勝己社長。
この会社の特徴は、話し合う風土が醸し出す家族主義経営にある。
社風をあげると、優しさ、温かさ、そして強く。
松岡会長は、会社の成長は社員の成長と言い切る。
成長とは、成果が出るまでやり続け、簡単にあきらめないこと。
イエローハットの鍵山秀三郎氏を師事し社員の自発のもと掃除を続けて32年になる。
社員に行動を促し習慣にしてしまうため、報奨金を掲げる。
あらゆるものに報奨金がかかっている。
改善提案、スローガン提案、ありがとうカード、読書感想文、・・・
報奨金は万円単位ではなく千円単位なので1回当たりは大きくない。
ところが機会が多いので、報奨金だけで1人25万円以上という人も現れる。
社員は常に考え、評価されることを喜び、高い給与に満足している。
その経営のコツは、ケチであること。
それは創業者の共通行動であり、危機感を持って無駄を徹底的に省く。
ケチは、知恵をひねり出し、皆との協力を意識する。 それが教育、成長となる。
やる気を引き出すのは、高額高収入ではなく、情報提供や小さなプレゼントだという。
改善提案は社員が持つ小さな不満の表明であり、それを過小評価せず受け入れる。
素直さ、向上心、何人もの師匠を追い求める。
面白いのは、新卒採用ではなく、中途採用であること。
中途採用だから人間関係の難しさや会社の理不尽さを知っている。
過去のつらい体験と比較できるので、同社の心地よい社風に馴染み、期待に応えたくなる。
松岡会長の人間教育が実践されている会社。
出会った人たちは、松岡会長のエネルギーや笑顔にまた触れたくなる。
まさに、人たらしの経営と言える。
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