下條村の出生率が高い理由!

先月末、長野県にある下條村に浄化槽整備の視察に行ってきた。
 下條村は長野県の最南端下伊那郡のほぼ中央に位置し、飯田市街や中央道飯田インターから時間距離にして20分の距離にある人口4,202人の村。今、この村に全国からの行視察が殺到している。理由は、全国の多くの市町村の財政が危機的状況にあるにも関わらず、この村の財政状況を示す実質公債費比率がマイナス4.5%であり、1,742市町村の中でも全国第3位と極めて良好だ。さらに、日本創成会議が試算した2040年の20~30代の女性の減少率も8.6%と低く、全国の多くの市町村が軒並み30~50%以上減少するという中にあって、まれに見る奇跡の村と言われている。
 私が訪問した目的は、同村が、国と県が汚水処理施策として公共下水道と農業集落排水事業を推進する中で、平成元年から村全戸の合併浄化槽による汚水処理整備を進め、現在では水洗化率が95%のとなってたいる事を聞いての現場調査である。
同村が合併浄化槽による汚水処理を選択した理由は、
1)村の全世帯(約1,000世帯)を公共下水道にした場合の整備費用は45億円(1世帯あたり450万)かかり、浄化槽による整備では1/5の9億程度で済むと試算
2)下水処理設備は、管路敷設後のランニングコストも未来永劫アップしつづける
その結果として、浄化槽整備による汚水処理計画を選択したこことで、起債を増やさず安定的な財政の基盤ができたという。同村では、今後、仮に地方交付税が大幅に削減されても揺るぎない財政基盤となっているという。

 私が訪問した当日も、村の職員の方が庁舎の窓ガラスの清掃をしていた。古い庁舎であったが、床もピカピカ。伊藤村長は1992年の就任以来、「村民のできることは村民で」を合い言葉に職員が自らが実施。捻出した財源は、村民にもどすという考え方で死にものぐるいで粘り強く村政を実施してきたという。 同村の出生率は1.86人(2013年)と国の平均1.43と比べても極めて高い。下條村では、生活排水をすべて合併浄化槽で整備したことが、健全な財政を築いた。人を大切にする会社と同様、人を大切にする自治体の一つの用件は健全財政であることだと実感した。石川勝

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「下條村の出生率が高い理由!」への3件のフィードバック

  1. 石川さん こんにちは!
    実際に現地に行ってみないと分からないことって沢山有ると思います。
    下條村は人にやさしい自治体ということですね。

  2. 石川さん
    すごい村ですね。必然という言葉がぴったりです。
    出生率の結果はいいことの一部。
    遅ればせながら、浄化槽の有効性がやっと理解できました。