言葉の力
今週は東北地方から仕事を始め、木金曜日は島根県西部と、家では1泊の週でした。やはり家族の待つ自宅は寛げる、有り難いものだとつくづく実感した週末でした。
以前、小欄でご紹介した埼玉県川口市にあるコミー株式会社(代表取締役 小宮山栄氏、従業員数:30名)の続報です。この会社の主要製品は、コンビニエンスストアやスーパーにあるカーブミラーのような鏡。あるいは、銀行のATMの“後方確認ミラー”や旅客機の手荷物入れの中にある確認用ミラーです。 同社は、国内凸面鏡(接客支援・万引き対策用鏡)では約80%、旅客機の収納棚確認用鏡では、世界ほぼ100%のシェアを占める小さな巨人企業です。
1967(昭和42)年、東京駒込で、商店のシャッターに店名などを書かせてもらう看板業で独立した同社。当時の社名は「小諸文字宣伝社」で、1999年に現在の社名になりました。創業当時の社名から想像できるよう、代表の小宮山さんの出身地は長野県です。
今回は、小宮山さんが悩んだときに、いつも立ち返る言葉をご紹介します。この文章は、1926年(大正15年)思想家の内村鑑三氏が、現在の星野リゾートの創業者である星野嘉助氏(当時21歳)に書き渡したものです。
成功の秘訣 六十六翁 内村鑑三
一.自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一.本を固うすべし、然らば事業は自(おの)ずから発展すべし。
一.急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
一.成功本位の米国主義に倣ふべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
一.濫費は罪悪なりと知るべし。
一.能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一.雇人は兄弟と思ふべし、客人は家族として扱ふべし。
一.誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一.清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一.人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。
人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
以上
この成功の秘訣を読み、「年輪経営」を想起しました。「年輪経営」は、48期連続増収増益を記録した長野県にある伊那食品工業の塚越寛会長が説かれている思想です。また、塚越寛会長は、トヨタ自動車の豊田章男社長がインタビューの中で、「色々な形で勉強させてもらっています」と語っている方でもあります。本物の言葉は、年月を経ても力強いものです。
今日も皆さまにとって、素晴らしい一日になりますように。
島根県浜田市松原から日本海を臨む
(江戸時代、日本海沿岸屈指の良港で、北前船がひしめいていた)
春木清隆
春木さん
学ばせていただきました。
知野 進一郎