「障害者と共に歩むということ」
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「障害者と共に歩むということ」
社会福祉法人実誠会 なるみ園
理事長 仲田 実
多くの皆様の支えにより、このたび第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行委員会特別賞を受賞いたしましたこと、改めて感謝申し上げます。
障害者支援施設を開園した15年前、周囲の方からは「どうして施設を始めようと思ったのか」と再三尋ねられました。当時、65歳を過ぎ会社経営からも引退しようと考えていた時期ですから、それは当然の疑問であったろうと思います。
私は学生時代に病気を患い、療養のため高校を中退し、その後ラジオの組み立てで独り立ちしましたが、当時は商売するにも資金も信用も実績もなく、追い風に乗ることができないまま数年が過ぎました。その矢先、部品の仕入れ先の社長さんから食事に招待され、街の真ん中に立つ3階建ての自宅に伺いました。
その時に初めて奥様の膝に抱かれている重度障害のある息子さんの存在を知ることとなりました。
社長は商売では成功者でしたが、息子さんのことでは心配が尽きないと言っていたことが、私の今日の仕事につながっているわけです。
「自分の仕事が一段落したら、人のためになる仕事をしよう。
人生の最後は社会奉仕しよう。」という考えが生まれたきっかけです。
施設を開所して、たくさんの家族と出会い、それぞれに口にする言葉が「親亡き後の不安」でした。
「障害者の自立」とは一体何かを探りながらの日々が始まり、職員とともに奮闘する毎日を送る中で、ある親御さんのことばがとても印象深く心に残りました。
「この子がモップを持つなんて信じられない」「犬が嫌いだと思っていたらお散歩に行くなんて、この写真をおばあちゃんにも見せてあげたい」「うちの子はみんなにかわいがられて幸せだ」
「自立」というのは、家族以外のコミュニティーの中で与えられた新たな役割を果たしていくことではないかという考えに至りました。
「大切にする」というのは「保護する」ことではなく「活かす」ことではないかと。
これは障害を持つ利用者に限らず職員に対しても同じことが言えると思います。
それぞれの得手不得手や適性を見極めながら、成長の可能性を信じて、少し困難な課題を与えつつ、きちんと評価する。
研修を通して学ぶことの大切さと楽しさ、その経験が発揮できた時の喜びを実感してもらう。
障害者も高齢者も活躍できる環境を整備し、頼りあいながら仕事をしていく。
こうした現在の形は、365日障害者と一緒に生活する中で出来上がったものです。
若いころ仕事の関係で松下幸之助氏に会うことがありました。「体が弱く貧乏
・・・。
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