これからの時代の起業成功モデル

最近、起業に成功しているケースにふれて、あきらかな時代の変化を感じています。

先日、拙書『元気な社員がいる会社のつくり方』を読んだという方からフェースブックにメッセージが届いていました。

3期目だそうですが、創業より自分なりに理念経営を実践し、いい会社をつくろうと毎日悪戦苦闘をしているのだというのです。そんな中で、自分の本を読んでくださって、経営について相談させてほしいという申し入れでした。

この会社は横浜でデイサービスを手がけていました。
調べて驚きました。

すでにスタッフを100人雇用、10の事業所を手がけるまでになっていたのです。

~安心で 暖かい まちづくり~が企業理念。
いかに収益性の高い事業であっても、この理念にそぐわない事業は一切行いません。

とホームページで高らかに謳っています。

まさしく完全に、起業時点から理念経営を実践してわずか3年目でここまで形をつくってきているのです。

そして先日の大阪ツアーで視察した八百鮮。

社長の市原さんは29歳で起業。
こちらも創業して3年目に入ったところですが、なんと年商は3億円を突破する勢いです。

八百屋でこの業績はすごいです。

元松下電器のOBの大学時代のゼミの教授の影響を受けて、人本主義の重要さに気づき、共感したゼミ仲間と創業を決意したのです。

現在、社員は11人、うち4人は発達や精神の障がい者でした。
すでに30%の障がい者雇用率となっていました。

最低賃金以上の給料をもちろん出しています。
そんなことは当たり前だからと平然と言いのける市原さんの言葉が印象的です。

『自分たちの世代は多感な時期、ITバブルが盛り上がってマネーゲームがさかんに行われるような時代だった。経営イコール金儲けで、金儲けできる人間こそえらいという拝金主義的なにおいが充満していた。そんな時代にあって山本さん(注:ゼミの教授)の語る経営は、数字やお金では測れない「人間の本来生きるべき道」に通じているように思えた。』

http://shuchi.php.co.jp/article/1360

人間の本来生きるべき道、正真正銘の人本主義です。

創業時から人本主義の理念経営を強く意識して行動することで、大きな成果がかなり早い段階で挙げることができるようになってきているのだと思います。

この事実、これからはこれが起業成功モデルとなってくるということが予感できる二つの事例です。
わたしは、最近の起業成功事例をこれから着目していくことも研究テーマにしていくことにいたしました。

ポスト資本主義社会は人本主義社会。
人を大切にする経営を実践している会社が輝き出します。
これからの時代は、経営革新だけでなく、創業もまたこのことがいえるのです。

モノやカネといった物理資本より共感資本がいかに重要になってきているのか、最近の起業成功ケースは雄弁に語ってくれているようです。

やっていることに共感されることが、経営にとって決定的に重要な時代になってきてきました。

八百鮮のある阪神野田の商店街は、松下幸之助が創業した地でありました。
偶然とは思えない縁を感じるのでした。

小林秀司

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