あかねの会の直ちゃん

M1 の 瀬賀孝子です。

直ちゃんは、あかねの会の理事長 吉田由紀子さんの息子さんである。
中小企業論の講義で、いつも近くの席に座る。
端正な顔立ちに済んだ目、屈託のない明るい笑顔。聴覚障害があるなんて全くわからない。
相手の唇の動きで何を話しているかわかるし、言葉を発することができるので楽しく会話ができる。
 先々週、髪を少しカッとしたら、直ちゃんはすぐに気づいて、
「セガさん、髪切った? 可愛くなったね!」
「えっ! そおぉ~、可愛い? こんな感じの彼女はどう?」
直ちゃんは笑いながら、手を横に振った。
隣にいたお母さんの吉田理事長は、
「あなた、気がついたの? 私は全然わからなかった」
直ちゃんは、良く気がつく青年なのだ。
 ゴールデンウィークが終わり、気が弛んだのか、私は知恵熱を出した。38.6℃……。あかねの会への出長ゼミの日。私は、1.2.3限の授業を終了してから参加する予定でいたが、結局、1.2.3限を休み、家から光が丘へ向かった。前日、「明日、行くからね」「うん、待ってるよ」と約束したので、苦しかったが出かけた。
「今日ね、わたし、お熱があるの……」
「セガさん、大丈夫? お水を持ってきてあげるよ」
と、冷たいお水を持ってきてくれた。
くるくると店内を走り回って働く直ちゃんは楽しそうだ。
「働いている姿、カッコいいよ」
直ちゃんは、はにかんだように笑った。

「やっぱり、苦しいから帰る」
私の熱い首筋に手をあてた直ちゃんは、
「ここ冷やすといいよ。待ってて」
と、熱さましを探しに行った。
具合が悪い時に優しくされると、涙が出てくる。
「セガさん、また話そうね。気をつけて帰ってよ!」
本当に屈託のない笑顔を私に向け。直ちゃんは手を振った。

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「あかねの会の直ちゃん」への1件のフィードバック

  1. 瀬賀さん
    おはようございます!
    出張ゼミ当日、妻が体調悪く寝込んでしまったのでおじゃまスルことができ無かった事が誠に残念に思っています。
    純真な温かい心に接すると胸に染みますね・・・・。