真田丸と赤備え

法政大学大学院 坂本光司ゼミ 修士1年 根本幸治

NHKの大河ドラマ「真田丸」の放映が始まった。
私は小学4年から真田幸村が大好きで、大坂城真田丸跡にある大阪明星中高に入学した。
最上階から南の天王寺方面、家康が陣を張る茶臼山を見下ろし400年前を想った。

大坂の陣では幸村は六文銭を使っていない。兄・信之の本家に遠慮した。
代わりに武具を朱塗りで統一し、真田家とはゆかりのない浪人衆5000人が心を一つにした。
安定した余生を求めず武士の名を挙げるべく、自らの最期を自ら演出する死に様の美学。
ここに男の魂を振るわす根幹がある。

振り返って現代と比較するに、似た現象に思い当たる。

一般的には死を家庭ではなく病院で迎え、医者の管理のもと、計画通りに死んでいく。
病院では死に際に花を咲かせる自己意志は許されない。
機械の数値が死を知らせ、ベルトコンベアーのように葬式から火葬まで至る。

しかし、その死の瞬間を自らの演出で花を咲かせてくれる企業がある。

夢のみずうみ村
この介護施設では、管理ではなく個々の意志のままに介護サービスを選択できる。
一番人気のカジノ。
カジノでの勝敗が明日の目標を抱かせ、生きる意味を持たせる。

あ・える倶楽部
車椅子などであきらめていた家族旅行をトラベルヘルパーがサポートしてくれる。
一番人気は墓参り。
希望ある旅行を楽しむとともに、死を受容する覚悟も持つことができる。

今でも姨捨山のような老後を想像する人は多いだろう。
一方で、真田幸村のように最期を赤備えで飾り
日本一の兵なり、と笑顔で写真におさまる人たちがいる。

最期を消極的に迎えるか、積極的に演出するか。
選択させてくれるサービス企業があることに感謝する。
 

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「真田丸と赤備え」への1件のフィードバック

  1. 根本さん
    真田幸村、好評らしいですね!
    私も観てみます。
    本田 佳世子