東洋経済オンラインにも紹介

27日の東洋経済オンライン情報。
私と考え方が一緒だと思ったら、筆者は、師匠の法政大学大学院、坂本光司教授だった(笑い)。
16日に発売された「日本でいちばん大切にしたい会社5」の超要約版。

社員を幸せにできない会社はまず繁栄しない
地方の「超元気な企業」が体現するスゴい経営

イキイキと働く社員がいてこそ会社は繁栄します
昨年4月に東京労働局に新設された「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)。政府がいわゆる「ブラック企業」対策の目玉として、東京労働局と大阪労働局にそれぞれ労働基準監督官のエキスパートを集めてつくった専門チームが、少しずつ違法労働の摘発に動いています。

「かとく」は初の事例として昨年7月に靴の専門店チェーン大手ABCマート、2例目として同8月に大阪の外食チェーン「フジオフードシステム」の過重労働について、会社と現場責任者などをそれぞれ書類送検しました。その後、3例目として近く大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の違法な長時間労働を摘発する見通しと、一部で報じられています。

従業員に過重な長時間労働を強いたり、そのうえで残業代を支払わなかったりするような違法行為を繰り返している企業は、相変わらず後を絶ちません。ABCマートやフジオフードシステム、ドン・キホーテなどのような全国展開したり、株式を上場している大手企業でさえ、そうなのですから大手に比べて経営体力の劣る中堅・中小企業では、もっとひどい例もあるかもしれません。

一方、筆者の40年以上にわたる企業の現場研究から、未上場の中小・中堅、また地方の企業であっても、「ホワイト企業」とも呼ぶべき良い会社が少なくないことも事実です。「ほんとうにそんなことがあるのか」と疑問に思われる方もいるでしょう。具体的な例として拙著『日本でいちばん大切にしたい会社5』(あさ出版)でも触れている、ホワイト企業と太鼓判を押せる6社とともに、こうした企業に共通する特徴などを紹介しましょう。

苛酷な運命を背負った障がい者が設立、夢のような会社

① 北海道光生舎(北海道赤平市)
北海道光生舎は北海道赤平市でリネンサプライ業を主事業としています。創業者である故・高江さんは、10歳の時、事故で右目を失い、さらには19歳の時には、今度は勤めていた電気工事会社の電線工事中の事故で、両腕を付け根から失ってしまいます。
それにもめげず、想像を絶する苦労と努力を重ね、奥さんと一緒に働く場のない、地域の障がい者のために立ち上げた企業で、今では社員数は約1000人、うち社員や利用者を含む障がい者は600人を超す北海道最大級の社会福祉法人にまで成長しています。

② クラロン(福島市)
クラロンは福島市で体操具や福祉衣料品の製造販売を主事業としています。現在の社員数は135人ですが、そのうち60歳以上の社員が30人、障がいのある社員が35人、障がい者雇用率は30%をはるかに上回り、「障がい者・高齢者・女性」という新しい時代の新しい主役が活躍しています。

③ さくら住宅(横浜市)
さくら住宅は横浜市で住宅のリフォームなどを主事業としています。創業以来、企業は経営者のものではなく社会みんなのものと位置づけ「社員重視」「仕入先・協力企業重視」「顧客重視」そして「社会貢献重視」などの、みんなが幸せになる経営を一途に実践しています。

製法特許や商標を一切取得しない業界のトップメーカー
④ 天彦産業(大阪市)
天彦産業は大阪市で特殊鋼材の加工販売を主事業としています。かつて、大赤字が出ることがわかっているにもかかわらず、少ないとはいえ全社員にボーナスを出そうとした社長に「なぜこんな時にボーナスを出すのですか。社長は私たちが大好きなこの企業を潰す気なのですか」と、社長に食ってかかった社員とのエピソードが象徴的です。

⑤ 日本植生(岡山県津山市)
日本植生は岡山県津山市で環境緑化事業を主事業としています。祖国や先祖に対する熱い思い、社員とその家族に対する温かい思いは、企業の敷地や建物に一歩足を踏み入れれば伝わってきます。こうした思想は、創業以来脈々と受け継がれ、今や業界のリーディングカンパニーとして著名です。

⑥ ふくや(福岡市)
最後に紹介する「ふくや」は、福岡市の明太子メーカー。地域の繁栄のために明太子の製造に着手し、苦労の末、その商品化に成功した業界のパイオニア的存在です。製法特許や商標を取得しなかった経営姿勢はもとより、地域貢献にも力を入れています。

今回紹介した6社に共通しているのは、短期の業績や勝ち負けではなく、かかわる人々の幸せを追求し、継続を軸に、ぶれない経営をしていることです。そして例外なく業績は安定的に高い。

筆者は長年の企業研究のフィールドワークから、会社経営には次のような使命と責任があると感じています。
1、社員とその家族を幸せにする
2、外注先・協力会社の社員を幸せにする
3、顧客を幸せにする
4、地域社会を幸せにし、地域を活性化する
紹介した6社はこの4つを実践し続けています。では、それぞれ具体的にはどのようなことなのでしょうか。

経営者が第一に求めるべきものとは
『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司著、あさ出版)。

会社に所属している社員と、その社員を一生懸命支えている家族を幸せにすること。これが、社会の公器である会社が果たすべき、第一の使命であり、もっとも重要なポイントです。自分が所属する会社に不平と不満・不信を抱いている社員が、お客に身体から湧き出るような感動的な接客サービスを与えたり、お客が感動する製品を創れたりはしません。社員の幸せは大切です。そしてそれを支える家族の幸せを追求し実現することが、企業に求められる使命です。

自社の社員だけでなく外注先や協力会社の社員とその家族も考えていかなければなりません。つまり、自分の会社の仕事をやってくれる人々です。筆者に言わせると「社外社員」です。「制服が違うだけのわが社の社員」なのです。

もちろん、顧客も幸せにしないと企業の存続と繁栄はありえません。会社の使命は、「お客のニーズに応える」「お客が欲しいと思うものを想像する、提案する」ことですから、お客のニーズ・ウォンツにタイムリーに対応することが大事になります。お客そのものもですが、お客のニーズ(需要)、ウォンツ(要望)に対応する社員はもっと大事といえます。

なぜ、株主の幸せの追求がいちばん最後なのか

最後には地域社会、あるいは地域住民を幸せにして、地域を活性化するのも会社に与えられた使命と責任です。地域に住んでいる人々、あるいは周囲の自然などを含めた地域社会に対する貢献です。

具体的にいえば、地域社会の方々から、「あの会社は私たちの町のシンボルだ」「この会社はわが地域の自慢だ」「この会社にこそ、息子や娘を入社させたい」と地域住民にとっての誇りのような会社になることです。地域社会や地域住民の幸せを中心に据えた経営を行えば、必ず、人々の心に響きます。そこからの連鎖が生まれ、社員とその家族、外注先・協力会社、顧客、地域社会を幸せにしていきます。

ひるがえって、会社にとっても重要なステイクホルダー(利害関係者)の一つであり、経営に対しても口出しもできる「株主」の幸せは、上記の努力を惜しまず、一途に実践している会社に自然に生まれてくるもの。株主へのアピールのために、度を超した違法な長時間労働を強いてまで社員を働かせて利益を上げようとするようなブラック企業とは対極です。

電機通信大学の特認教授で、法政大学大学院客員教授の安部博文先生の人を大切にする会社の資料を付ける。
ゼミ生が多いので、坂本ゼミ生の論文指導をいただいている。

もうじき修士3年の知野 進一郎です。

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