坂本ゼミを選んだ理由
ある男が「日本でいちばん大切な会社」を読んで、会社を辞めた。彼は勤めていた金融機関では出世街道を歩んでおり、家族もあった。それにも関わらず、迷うことなく脱サラをしてしまったのだ。
後悔していないのか聞くと「今まで融資する会社を間違えていたよ」と私に5冊の本を差し出してきた。「法政大学大学院政策創造研究科 教授 坂本光司…」そこには私が政策力を磨くために見つけた大学院の研究科名があったので驚いた。
数ヶ月後、市ヶ谷のゼミ見学会に来た私は、その本のことを思い出していた。頭から離れなかったという方が正しいかもしれない。だが自分の履修したいプログラムは決まっていたので、その対象となるゼミを見学するはずだった。
しかし、気づくと私の足は坂本ゼミの教室へ向かっていた。ペンの力で一人の男の人生を変えてしまった坂本光司先生にお目にかかりたいという衝動に駆られた。
空間は何とも言えない熱気に包まれていおり圧倒された。同時に先輩方のレベルの高さを把握できた瞬間でもあった。「諸君!」その凄まじいエネルギーの中心に、あの坂本光司先生が立っていた。とてつもないオーラを感じずにはいられなかった。先生は人を大切にする会社の話は勿論のこと、「生き方」についてまで伝授されており、たちまち引き込まれていった私の胸はいつの間にか熱くなっていた。
休憩時間に先生と名刺交換をさせていただいた。
「何故、あなたは点字の名刺を使っているの?」との問いに
「等しく生きる社会の実現を掲げていますので、出来ることからしています。」
「どこで作ったの?」
「この名刺は地域の作業所で働く、目の不自由な方々に作っていただいております。」
そう答えると先生は大学院で何を研究したいのかを私に尋ねた。
「社会の課題を解決するために農業と福祉を融合させたいんです」と気持ちを伝えると、
「指導してあげるからいつでも来なさいと」優しく声をかけていただいた。
後日、入学しますとも、ゼミに入りますとも伝えていない私に、先生は、貴重な時間を割いてくださり、一対一での指導をしてくださった。色々なお話も聞かせていただいた。私がこう言うのも、おこがましいが「徳のある人」とは先生のような方であると感銘を受けた。
坂本光司先生の元で学ぶことで、もう一つの求めている力「人間力」も高めることができると確信した。いや、むしろ世のため人のために、ここで学ばなくてはならない。
この出会いは正に運命であると直感した(勝手に)
これが、坂本ゼミを選んだ理由です。
私は畑違いかもしれませんが、どうぞ、よろしくお願いいたします。
伊丹さん
農、福を広げ始めている組織があります。
今度、紹介します。
坂本教授の話、本から会社を辞めた例は相当数あるように思います。
知野 進一郎