お見事な物流サービス企業

7月31日(日)は、浜松で行われた沢根スプリングさんの50周年記念の集いに参加し、午後は同じ浜松市内の株式会社ヤマウチさんと株式会社ワイピーシーさんを訪問してきました。物流サービス業を営む両社は、創業者で現会長の山内忠行氏が昭和58年に創業。現在、二人の息子さんたちがそれぞれの会社の社長を担っています。

同社は創業以来三十有余年、着実な成長を続け、中小企業のあり方の一つである「池のクジラ」、すなわち狭い領域で一番企業となっているお手本のような会社です。
同社が永きにわたり繁栄し続けている要因は多々ありますが、ここでは3つに集約してご紹介します。

永続繁栄要因の第1は、徹底した環境整備。訪問した日は休日で、社員さんたちは不在でしたが、本社事務棟に一歩足を踏み入れた瞬間、「いい会社」特有の整然とした空気が感じ取れました。更に同社の保有する車両の整備や板金・塗装までも行う、モータサービス部と呼ばれる現場も、他の企業でしたら、オイルのシミが層になっている箇所や、隅にホコリが積もり易いところまで、徹底した掃除が行き届いていることを確認しました。特に印象的だったのは銀色に輝く大型トラックが数十台、ミリ単位で測っているかの如く、整然と駐車している様でした。

これら徹底した環境整備を通して、社員さんたちの心を育て、人間性を磨き続け、それが社員さんたちの「挨拶」や「マナー」の質向上につながり、同社差別化要因の源となっていることを窺い知ることができました。

永続繁栄要因の2つ目は、管理会計制度の活用です。一般的な中小企業は、税務署に提出するための税務(財務)会計一本で経営を行っています。管理会計は、税務(財務)会計に加えて、経営者が経営判断や業績測定などに役立てることを目的としています。

株式会社ヤマウチさんの管理会計制度の大本は、車両1台毎の損益計算書です。そこに記載されている主な項目は運賃収入・減価償却費・自動車税・保険・燃料費・整備費・高速代・人件費・利益額・利益率のほか法令順守項目の確認もできる内容でした。この資料から、車両やルート、顧客ごとの切り口で適切な経営判断が瞬時にできる優れた資料を活用されています。

永続繁栄要因の3つ目は、経営者です。創業者の山内忠行氏は、古希を超える経験豊かな方ですが、そのバイタリティーは、青年そのものです。以前は違う業種の会社も経営しており、一日を二毛作・三毛作と寝る間を惜しんで現在の業容の基礎を築きました。更にこれからお世話になった地域に貢献しようと、新規事業構想を熱く語る山内氏の姿から、浜松出身の偉大な創業者たち、ヤマハの山葉寅楠(やまはとらぐす)、本田技研の本田宗一郎、トヨタの豊田佐吉などを輩出した「やらまいか精神」を想起しました。改めて、企業はTOPで決まるを認識した次第です。ご案内くださった山内会長、ありがとうございました。

今日も皆さまにとって、素晴らしい一日になりますように。

春木清隆

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